昔昔、あるところに

笑わない王子様がおりました

たいそうきれいなお顔なのに

生まれてから一度も笑ったことがありません

何とかして笑顔がみたいと

王様とお妃様は国中に命令を出しました

笑わせられた者には褒美をやろう

すぐにたくさんのひとが集まりました

魔術師、曲芸師、サーカス団

けれども男の子は笑いません

皆があきらめかけたとき、

ひとりの少女が進み出ました

私が笑わせて御覧にいれましょう

だれもがせせら笑いました

ちいさな彼女にできるはずがない

彼女はうたをうたいました

星のささやく声で

王子は尋ねました、何という歌なの?

すると彼女は笑ったのです

笑って、王子にささやきました

みんなが固唾を呑んで見守る中

星のようににっこり笑って

王子は彼女を抱きしめました



これは昔昔の

あなただけのお話です

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