サソリは乱雑にデイダラを押し倒すとその腹部へ馬乗りになった。ゆらりと伸びた右手がデイダラの首筋を容赦なく鷲掴む。 力を込められたデイダラは呼吸を遮られ、サソリの右手に両の爪を立てて抵抗した。 ギリギリと刺さるその感覚にサソリはデイダラと等しく顔を歪め、しかし、どこか妖艶な笑みを浮かべながら、空いた左手でデイダラの頬を強く叩いた。 新たな痛みに屈する事なくデイダラは尚も指先に力を入れる。じわりと赤色が滲み出した所で、漸くサソリがその手を離した。 「……う、ごほっ、げほっ、……は、こ、のやろう、ざっけんな!」 解放と共に勢いよく酸素が流れ込み、デイダラは喉元を押さえながら呼吸を乱した。鋭い双眼をサソリに向ける。 気づけばサソリの表情は無いものになっていたけれど、束の間。その口角が先程と等しく意地悪気な半円を描いた。 「……に、笑ってんだ、このクソジジイ」 「お前のその顔、たまんねぇなって思ってよ」 「はあぁ!?」 「ゾクゾクする。あ、駄目だ。おい、面貸せ」 「ってぇ!」 サソリはデイダラの髪を無造作に絡めとり、苦痛に歪んだデイダラの顔へ、勢い良く猥褻なものをぶちまけた。 額から睫毛から、鼻先から頬、唇と顎まで、デイダラの顔中をまんべんなく白で塗りつぶしていく。 「うっ……!」 「は、いい眺めだ」 「……っ、何なんだよ!」 まとわりつく不快感にデイダラの苛立ちは最高潮だ。それを乱雑に拭いながらデイダラはたまらず舌打ちを溢し、怒声を張り上げた。 「ざけんな!何でオイラがアンタの趣味に付き合わされなきゃなんねんだよ!オイラはエムっ気なんざこれっぽっちもねぇんだ!そんなに誰かを痛めつけんのが良いなら飛段でも犯してろ!うん!」 怒りに狂うデイダラの言葉。しかし、サソリは揺らがない。それどころか表情にはいやらしさが増すばかり。 「何で俺があんなエム男を相手にしなきゃなんねぇんだよ?馬鹿かお前?」 「馬鹿はアンタだろーが!サドがマゾ犯すのは定石だろ!?うん!」 「てめぇは何も分かっちゃいねぇな」 「は?」 「マゾなんかつまんねぇ」 「はあ?」 「痛めつけても喜ぶだけなんだぜ?もっともっとって。何でこの俺が誰かの言うこと聞かなきゃなんねぇんだよ。そんなんいたぶりがいもクソもありゃしねぇ。俺はマジで抵抗するヤツを屈伏させたいんだよ」 「……な……」 「つまり」 瞬間、サソリはデイダラとの距離を詰めた。そして。 「……サドをいたぶんのが一番興奮する」 「……はっ!?んぅっ……!」 サソリの端麗な顔に気をとられたその刹那の隙に、デイダラは唇を掠め取られ、容赦なく口内を犯された。 くちゅくちゅと淫らな音が鳴り、先程とは異なる方法で呼吸を奪われる。 「……っは!はぁ、この、やろ……!っこの変態!クソジジイ!真性サディスト!」 「ククッ。やっぱお前はいたぶり甲斐があってイイな」 「は……」 「いつ屈するか、ゆっくり楽しませてもらうぜ?本気で抵抗されんのが一番勃つ」 「ちょっ……、マジやめろ!はなせコラっ!うわっ、うわっ、……っぎゃああああ!!やめろおっさんんんんんんんん!!!!!!」 あれよあれよと流れのままに、デイダラはサソリに好き放題に犯された。 そして現在、ベッドの脇で満足気に煙草をくゆらせるサソリとは裏腹に、シーツにくるまっているデイダラの胸にはサソリに対する苛立ちと憎しみ、復讐の決意がポツリポツリと刻まれている。 けれど、それと同じだけの戸惑いさえ、彼の中では確かに芽生えていた。 行為の間、サソリの視線は、言葉は、指先は、そのすべてが、この世のものとは思えない程の狂気に満ち溢れていたのだけれど、彼の唇だけは酷く柔らかく、酷く優しく、デイダラのそれに重ねられていたからだ。 fin サディストだけれどもちゅーだけは愛情たっぷりになっちゃうサソリさんに思わずキュンとしてしまうこれまた同じくサディストなデイダラさんを書いてみたかったのです(爆発) 個人的にサソリさんにはハイライトを吸っててもらいたい(爆発)(爆発)(爆発) |