chloe







甘い系2



※あんまり甘くなかった

▽わがまま
▽滴り落ちる陽光の粒
▽甘えた
▽条件X(謙也が悪い子・甘くないかも?)
▽美味しさは













▽わがまま
謙也さんがワガママ言ってくれると嬉しい
オレは確かに後輩だけど、一人の男として恋人のワガママを聞いてあげたいんです
恋は盲目、結構じゃないか
だから目を閉じて、オレに甘えてくれませんか

********

謙也がワガママ言ってくれると嬉しい
「親しき仲にも礼儀あり」とは云うけれど、利他的で優しい親友だから怖くなる
また我慢してないか?
気のおけない間でいたいと願っているよ

********

謙也がワガママ言ってくると嬉しい
張り合ってばかりだけど、最後はちゃんとオレの所に返ってくる確信が持てるから
アイツが望むように、オレらは対等でなければならない
同じだけ求めてくれなければ不公平だろう




▽滴り落ちる陽光の粒
結露した窓を通して朝日が差し込むのをキレイだと思った
カーテンを閉め忘れたせいで部屋の寒さが割増ししている
ゆっくりできるはずの休日に朝起きができたって、もったいない気がして、そのまま布団につつまり窓を見ていた
光の行方を辿るように一段高いベッドに目が行くと、そこでやっと部屋の主がいないことに気が付く
謙也さんは、もう起きてるのだろうか
少しトイレに行ってるとか、水を飲みに行ってるだけならいいと思いながら、冴えない目を瞬かせる
まだ眠っていたいという怠惰な感情も、彼が起きてしまえばそうもいかない
水滴に乱反射した光が眩しくて目を閉じた




▽甘えた
「謙也は甘やかしすぎや」
「は?」
「財前のこと」
「…白石に言われてもな」
そうやって膝の上の頭を撫で続ける手を止めない
謙也の腹に顔を押しつけ、腕を腰にまわして寝てる後輩の健やかなことこの上ない
普段の財前からは考えられないような行動だというのに、謙也が財前を甘やかすのはもう目が腐るほど見てるから見慣れてしまっている自分がいる
「自分こそ金ちゃん甘やかしとるやん」
そう言って目を伏せて財前のピアスだらけの耳に触れた
(やって、違うやろ)
(オレが金ちゃんに優しくするのと、謙也が財前に触れるんは、)
(全然違うやん)

*******

汗をかいた後の光の髪は、ワックスのべたつきが戻ってきていて変な触り心地がする
(先に風呂に入れればよかった)
生え際から掻き上げるようにゆっくり指を通して、手のひら全体で何度も頭をかきまぜる
寝てるのか起きてるのかわからないけど、身じろぎ一つせずにされるがままの光を猫可愛がりするのがオレの習慣になってた
『甘やかしすぎや』
白石に言われたそれは十分自覚して、止められずにいる
(白石が悪いんやで)
(金ちゃんばっかり可愛がるから)
押し付けられた光の頭が温かくて心地いい
顎のライン、耳の縁をなぞっていくと、腰に回された腕の力が強くなった
(かわいい、オレの光)




▽条件X
近づく影に制止をかける
「それは約束に入ってないやろ」
鼻先が触れ合う距離で止まった頭をやんわり押し返した
少しむっとした子供っぽい顔をしているのが可愛くて髪を撫でてやる
嫌そうな顔をするくせに、手の下から逃げることも、手を払うこともしないで、甘んじてされるがままでいる天の邪鬼
たった一つしか変わらない後輩が可愛くて仕方ないでいるオレに、この後輩が抱きついて離してくれない
先刻熱い告白をもらって、残念ながらお断わりを入れさせていただいた
なにぶん、こんなオレでもお付き合いさせてもらってる相手がいて、自慢じゃないが世界一愛してる
それでも諦めないという彼がなんとしてでも惚れさせたると豪語するので、『強行手段はNG』の条件で好きにさせることにした
人の恋路を邪魔するのは趣味やないからな(もちろんオレの邪魔しよったらそれは許せないかもしれん)

キスは唇以外で

(ああ、かわいいおれのひかる!)




▽美味しさは
謙也さんの口がすき
普段忙しなく動いて音を溢れさせてるのに、食事中は意外なほどキレイ
小口でちょこちょこ気にして食べてるわけでも、一切無言でもないのに無駄なくまとまった動作で咀嚼と嚥下を繰り返していく
育ちがいいってこういうことだと金色先輩が言っていた
「むっちゃこぼれてる」
いひひと笑いながら謙也さんに示されたオレの手元は、崩れたアップルパイの生地がぼろぼろこぼれていた
言っておくがマクドのアップルパイは崩れる、崩れないわけがない、よってオレの食べ方が別段下手とか汚いとか思われては心外だ
「食ったら片しますわ」
ぼそっと呟いてから、一口には少々大きい残りを口に放り込むと、謙也さんがだらしなく口元弛めて「小動物」と言うからその頭を一発叩いておいた
もちろんパイ生地のクズが付いた手で


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