chloe







光謙以外のCP



▽夫婦になろうか(健謙)
▽その腕ご予約中です(健←謙)
▽むせ返るほどの甘満(健謙)
▽健二郎ハピバ(健謙光家族パロ)
▽ドライフラワーは散らない(モブ謙)
▽嫉妬嫉妬嫉妬(ユウコハ百合)










▽夫婦になろうか(健謙)
「謙也」
耳にやさしいテノールに呼ばれたのと同時に、スクイズボトルが頬に当てられる
11月の冷えた空気を切ってきた頬は冷たくて、ボトルの冷たさはよく分からなかった
けれど体内は火照り汗が滲み背中を流れていく
ボトルと一緒にタオルも手渡してくれた彼に礼を言って受け取ると、彼はどういたしましてと言いながらやわらかく笑った
「健二郎はええ旦那になるわぁ」
気配りができて優しくて理想の夫やでホンマと言ってやれば、少し驚いた顔をして、それからいたずらっぽく口角をあげて照れた声で言う
「謙也のな」
オレが赤面したのは言うまでもない




▽その腕ご予約中です(健←謙)
「「けーんじろ!」」
声とともに両腕にコイツらが絡みついてくるのはもういつものことだ
「…自分ら何したいん?」
「ん?絡みたいだけやけど」
そうけろっと言ってのける白石の反対側で謙也がうへへとかだらしない笑い方をする
180周辺の男が三人腕組んでるなんてうすら寒い光景だ
それでも白石も謙也も楽しそうにしてるものだから、両腕の拘束くらいと思ってたのだけど
「おお、健二郎の手あったかい」
腕組まれたままぺたぺた手に触ってきて、おまけに握られるとさすがにちょっと、と思わずにいられなかった
「謙也、手ぇ離し」
「ええ、ええやんあったかいし」
「謙也も大して変わらんやろ」
ちょっと下にある黄色い頭にそう言うと、少しむくれた顔して大人しく手だけは離れたが、組まれた腕の力が強くなる
「ケチくさい男やな、手くらい握らしてやったらええんに」
白石はあんまりにも爽やかな顔してそう言って、続けて
「それが愛やで」
なんて小さな爆弾を落とした
え?
「…あの、」
思わず真顔になって白石を凝視する
(この子、オレのこと好きなんですか?)




▽むせ返るほどの甘満(健謙)
同じ布団に包まって、触れそうな距離の寝顔を眺める
いつも立ててる髪が、やわらかく垂れていて、それでも触るとやっぱり少し硬かった
窒息しそうな勢いで、胸からいっぱいの幸せが口から溢れて出そうな気がする(下品とか言うなや)
抱きついたら起こしてしまうかと、若干心配になったけれど、空が白み始めているし、まあいいだろうと結論付けて腕をのばした
首に腕を絡めて、頬をあわせる
「ん、……謙也?」
「おはようさん」
「起きてたんか?」
「さっき目ぇ覚めてん」
「さよか」
寝起きの擦れた声が鼓膜を震わして頭がふわふわする
腕をのばした時にはみ出した肩に布団を掛けなおしてからぎゅうっと抱き締めてくれる
「ん、健二郎」
重ねた唇で愛してるって呟いた




▽健二郎ハピバ(健謙光家族パロ)
今日は節分や
やからおかんはせっせと恵方巻きをこしらえている
その具のなかに一際目立つ色鮮やかな緑がある
パセリや
おかんは色合いがキレイやからっていうてるけど、ほんまの理由はソレやない
「光も手伝ってや」
おかんが手招く台所へ向かい、まきすの上に敷かれた海苔とご飯を渡される
「好きなもん巻き」
隣で手際よく具材を並べては巻いていくのを横目に、オレは緑の山へ手を伸ばした
ソレを見ておかんがフススとか変な笑い方してニヤニヤ見下ろしてくる
「パセリが好きとかわかられへんわ」
「せやなぁ」
気付けばおかんの手元もパセリ巻きになってて、自分で始めときながらこれはさすがに不味いやろって思った
米はパセリで食うもんとちゃうわ



▽ドライフラワーは散らない(モブ謙)
高くない天井を見上げていた
腰がだるい
なんでこんなことになったんだろうって考えるだけ考えてみて、記憶が抜け落ちていてまともに答えなんて出てこなかった
とりあえず、記憶飛ぶほどに碌なことなかったことだけは理解できる
それならどうしてって考えても、自分のどうしようもなさに辟易するだけなのは恐らく真理ってやつだ
(泣きそう…、つかもう泣いてるし、ださい)
仰向けの顔を伝う涙は耳に溜まって気持ち悪かった
(穴に溜まる水分て気持ち悪いもんばっか)
下半身のだるさとか、前頭葉が熱くなって重たい感覚とか、湿っぽい布団の臭いとか、
(ラクになりたい)
そういうもの全部がオレをココに縛りつけてるんだと思った
シャワーの水音が止んだら現れる影が神様ならいいのにと、望めない期待がオレを孕ませる




▽嫉妬嫉妬嫉妬(ユウコハ百合)
「一氏って金色と仲いいよな?」
そう言った目の前の男の目玉を潰してやりたくなった
赤くなっちゃってうざったい

はっきり言って、小春以外に唯一大事にしてると言っていいのが笑いっていうもんで
コイツとは3年一緒に委員会に携わってきたから、それなりに仲良くやってきたつもりだった
そんな贔屓な感情持ってても、うちの柔らかで繊細な部分を荒らそうとするのは黙っておけない
「金色って好きな人いるんかな?」
「好きなんや?」
「…おん」
「キスしたいん?」
「はあ!?」
素っ頓狂な声あげて立ちあがったのを黙って見つめる
な、なって口パクパクさせて金魚か
「抱きしめたい?セックスしたい?小春に何したいん?」
黙ってる奴をもう一度座らせて、ゆっくり息をついた
長いだんまりの後、難しい数学の答え言うみたいな情けない声が聞こえる
「そんなんわからん、オレらまだ中学生やし、せ、セックスとか、金色に考えられへんし、普通に、付き合ったりしたいくらいしか」
奴はそう言ったけど、何が普通かなんてわかったものではない
付き合ってたらセックスするのにもキスするのにも十分理由が出来る
まあ、奥手で芋臭くて垢抜けないままのこの男はきっと本当にわかってないのだろうけど
「あ、でも手ぇつないで帰ったりしたいかもな」
さっきまでの羞恥に染まりながら難しい顔してたのが、照れてはにかんでそれだけはやけに楽しそうに言った
ああ、なんてムカつくことだろう
幸せそうな顔して妄想語って、期待で胸がいっぱいなのだろう
小さく突き出た唇は無意識で、あの小春の薄い唇に重ねたいなんて欲望がぐるぐるしてるんだ
「残念やけど、自分は小春に釣り合わへんわ」
「一氏…?」
「自分のことは、結構気に入ってたんやけど、ほんま残念やわ」
存外楽しそうな声が出たのには自分でも驚いたけど、心がしくしく泣いて胸が痛い
「オトモダチで限界やねん」
うちの『愛』は誰にも渡さない
「小春に近づいたら容赦でけへんねん」


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