chloe







甘い系



▽せき止めてみる
▽調教
▽ハピバ光










▽せき止めてみる
「なあ、もうやめぇや」
「えー、いやっすわ」
「うわぁ、あかんてほんま、止まってまう」
何が楽しいのかまったくわからんのやけど、光がオレの血管つぶしてきよる
投げ出していた手を掬われて何事かと思えば何やねんほんま
血管つぶすとかグロいからやめよお!
「皮膚の上から何言ってるんすか。グロいってのは内臓はみ出させてから言ってください」
「えげつなっ!ほんまアレなやっちゃな」
サディスティックで猟奇的
それでも手が触れてるのが好きだから現状維持の方向で
「そーいや、手に画ビョウ刺さったことあります?」
うん、だいじょーぶ




▽調教
「光だめ、あかん」
自主練を終えて、部室に入ろうと戸に手をかけると声が聞こえてきた。諫めるような謙也の声だった。謙也に名指しされてたのは後輩の財前で、二人ともまだ残っとったんやな、なんてぼんやり思う。なんでぼんやりかって、そんなものこの時すでにオレの思考は逃避モードだったからだ。はいはい部室でなにやっとるんかなー、なんて戸を開けれた過去の自分が懐かしい。注意しに入った部室で親友のディープキス以上を目撃してしまうなんてもうごめんだ。だから謙也、頼むから財前に口輪の一つ買ったれ、なんて念を送りながら、あと3分待ってだめだったらノックしてやろうと決心した。
「やから、あかん言うとるやろ」
「…謙也さん」
「ダメ、光あかん」
戸を隔てても凛とした物言いがはっきりと聞こえて、オレは立ち上がる。開けた戸の向こうには不貞腐れたような顔で謙也の手を握ったままオレに視線を流す財前と、困ったように笑いながら「お疲れ」とタオルを投げてくれた謙也がいた。謙也の手を引き、部室を出ていく財前のぼやきに、それはこっちの台詞だと、オレだけになった部室に吐き出した。
「ほんま、タイミング悪すぎっすわ」




▽ハピバ光
「謙也くん」
にっこり笑った顔に、オレは気恥ずかしさにうつむいた。向かいの席で大人しく座ってる光が恨めしい。
「ねえ、謙也くん」
「なん」
「スッゴいおいしそう」
「…おおきに」
抹茶と大納言のシフォンに小倉ミルクのホイップ添えた、ちょっと力作。昔オカンが作ってくれたレシピ漁ったら見つかった和風シフォン。甘党でしかもあんこ好きな光ならこれやと思って頑張った甲斐があった。
「ねえ、」
光はさっきからフォークを取ろうとしない。
「謙也くん、食べさせて」
ということらしいけど、そんなん居たたまれない。無理だ、できない。自作のケーキをあーんだなんて恥ずかしすぎる。
「自分で食いや」
「左手が右手に絡んじゃってんで無理っすわ」
「いやいやいやいや」
「それより、食わせて謙也くん」
あー、もう儘や!恥ずかしさはあるけれど焦れったさに耐えられず、フォークを取った。一口くらいに崩してやって目の前の口元に運んでやる。
「誕生日おめでとう、光」
「ん、……おおきに、むっちゃウマいわ」
「そか、よかった」
光がウマいって言ってくれて心底ホッとして嬉しかった。これを聞けなきゃやっぱり不安だったから。
「ひかる、あーん」
全部食べるまでオレがあげる。


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