2012/08/15 02:26
「ざいぜんは、おれのことなんか、すき、でも、なんでも、ないんやろ」
格子の向こうの一面が極才色の着物の座敷に、ぽっかり浮かんだ言葉がまっすぐにオレを見ていた
「きたいしたりしない、きずついたりしない、」
ぽつりぽつりとたどたどしい声と同時に言葉が気泡のように形をなしては消えていく
「こわい、こわい、もういや、もう、もう、もう、」
声は次第にすすり泣きに変わり、言葉と一緒に雫がぼとぼとと着物を湿らせた
「くるしい、たすけて、たすけてだれか」
オレを呼んだ声が「誰か」を
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