ご用件は? 昼休み授業から解放された生徒たちが賑わっている。 そんな中、閻魔はとある場所に向かっていた。 「すみませーん。」 扉を2、3回ノックして教室を覗き込むと自分よりも若干幼さの残る生徒達がこちらを向いた。 その中に自分の探している人物はいない。 どこに行ったのか、行方を教えてもらうため近くにいた女子に声をかけた。 「あ、あのさ。河合って奴いない?」 「へ?河合君、ですか。」 その女の子はキョロキョロと教室を見回すと困ったように笑う。 閻魔はその顔に見覚えがあるような気がした。 「さっきまで居たんですけど…居ませんね」 「そっか…困ったな。」 扉に寄り掛かり支えている仕事を思いだし、ため息をつくと女の子は口を開いた。 「河合君伝えることがあるなら、私が伝えますよ。閻魔先輩。」 「…ん?君、何でオレの名前知ってんの?」 自分の名前を呼ばれ驚いた閻魔は一歩女の子に近付いて顔を覗き込む。 女の子は目を大きく見開いて閻魔を見つめ返した。 「何処かで会ったこと、…あるよな?」 閻魔がそういうと女の子は首を2、3回縦に振り優しく微笑んだ。 すると肩を誰かに叩かれ、振り向くとそこには冷たい目をした男が立っていて。 「何、人のクラス委員長に手を出しているんですか。」 「あ、河合君。」 普段から冷たい視線だが、今日はより一層刺さるように冷たい目をした曽良を無視して閻魔は女の子に視線を戻し笑う。 「クラス委員長…ああ。君、なまえちゃんか!」 「え、あ、はい。」 なまえは目の前の閻魔とその後ろの(鬼のような)曽良を交互に見た。 閻魔のシカトっぷりに腹を立てた曽良は小さくため息をついて。 「人を無視しないでいただけますか、先輩。」 曽良はそういうと肩に置いたままの手に力を込める。 「いでででっ!」 閻魔は慌ててその手から逃れ、なまえの背中に回った。 なまえに隠れるように身を潜めるが曽良の視線から逃れられない。 「僕に何かご用なんでしょう?ふざけていないでなまえさんから離れてください。」 見下すように閻魔を睨みつけて、なまえの腕を引いて閻魔から引き離す。 「なまえさん、大丈夫ですか?」 引いた腕を更に引き寄せて、なまえは曽良の胸にすっぽりとおさまってしまった。 「なっ、まるでオレが何かするみたいな言い方するなよ河合!」 閻魔は負けまいと言わんばかりになまえを引き寄せようとなまえのもう片方の腕を持つ。 「なまえさんに触らないでいただけます?」 「お前、なまえちゃんの何なんだよ。」 頭上で火花を散らす二人に、なまえは怖ず怖ずと口を開いた。 「あ、あの。何か急ぎの用事だったんじゃ…。」 なまえの言葉に二人は顔を見合わせて、なまえを解放した。 「そうですよ。で、用件は何ですか。」 解放しても睨み続ける二人に挟まれたなまえはその場から動けなかった。 「昼休みに生徒会室に集合。忘れたのかよ。」 「ああ、その事でしたか。では、行きましょう。」 「反省の色無し…か。」 はぁ、とため息をつく閻魔を無視して曽良は歩き出す。 閻魔は曽良の後ろ姿を追う前になまえに微笑みかけた。 「あ、またねなまえちゃん。」 「はい。」 なまえもニッコリと微笑んで返すと、先を歩いていたはずの曽良が立っている。 「こんな変態相手にしなくていいですよなまえさん。」 そういって閻魔を連れて去って行った。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ あこ様リクエスト ご用件は?/曽良vs閻魔 fin 2010.05.24 |