いつもと同じ いつもと同じ朝。 いつもと同じ電車。 「なまえおはよう。眠たそうだね。」 「んー、おはよ妹子。」 いつもと同じ人物。 いつもと同じ挨拶。 目の前にいる幼なじみの茶色い髪が電車の窓から入る朝日に反射してキラキラと輝いて綺麗。 私は吊り革にも捕まらずただぼーっと妹子の髪を眺めていた。 「眠いなら座っちゃいなよ。」 駅に着いたら起こしてあげるよ、と困ったように笑う妹子。 「眠くないもん。」 ぷいっとそっぽを向いた瞬間、電車が急ブレーキをかけた。 吊り革に捕まっていなかった私はぐらぐらと揺れそのまま倒れてしまう…そう思いグッと目を閉じて体を固くした。 「……。……?」 しかし、体は倒れず温かい体温に包まれている。 「危ないなぁ。」 上から降ってきたのは妹子の呆れた声。 ゆっくりと目を開けると私の体は妹子の(思ったよりも)太い腕によって支えられている。 「は…びっくりした。」 何度も瞬きをしていると、妹子はクスクスと笑った。 「びっくりしたのは僕の方だよ。」 「ん、ありがとう。」 そういって妹子から離れようとしたが、妹子は離してくれなかった。 「妹子。」 「また急ブレーキがかかるかもしれないだろ。」 離れるどころかグッと腕に力が入り二人の距離が近くなる。 「それに、好きな子が怪我するところなんて見たくないし。」 見上げると耳まで真っ赤に染めた幼なじみがいた。 「あ、りがとう。」 すごく恥ずかしかったけど、それ以上に嬉しくて私は少しだけ妹子に寄り添った。 いつもと同じ朝。 いつもと同じ電車。 いつもと違う関係。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ いつもと同じ/妹子 fin 2010.04.10 |