喜怒哀楽 ダラダラと太子の布団で横になっている私。 流石摂政なだけあっていい物使ってる。 太子は布団に横になる私を見ながらニヤニヤと凄くいやらしい笑い方をしてる。 「何て言うか太子の顔がセクハラ臭い。」 「なっ、酷!!」 「だって本当にやばいですよ。私の時代だったら間違いなく訴えます。」 ゴロリと寝返りを打ちながら笑えば太子はプリプリと怒ってしまった。 この人は喜怒哀楽がしっかりした人だなぁ、と感心してしまう。 そう思ったらもっと太子の表情が見てみたくなってしまった。 「…ねぇ、太子。」 怒った太子は私の言葉なんて聞こえないみたいにそっぽを向いている。 「太子ってば。」 何度呼んでもこっちを向いてくれない。どうすればこっちを向いてくれるのか考えていると私と太子の間に沈黙が生まれた。 「…。」 「……。」 太子はその沈黙が嫌なのかチラチラとこちらの様子を伺ってきている。言いたいことがあるなら言えばいいのに。 私はまたも楽しくなってしまいわざと黙っていた。 「な、何か言わんかい!!」 淋しいだろ!と言うと太子も布団に横になり私の体の上に腕を置く。 重たいのでその腕を叩き私はごろりと太子から離れるように寝返りをうった。 「無視したのは太子でしょ。」 ベッと舌を出して敵意を剥き出しにすると、太子はメソメソと泣きだし、さっきまで私が使っていた枕がびしょ濡れになっている。 そんなみっともない太子すら愛おしいと思ってしまう私は、恋の病かただの変態か。 「あー、もう泣かないでくださいよ。」 今度は太子がいる方に寝返りをしてよしよしと撫でてやると、太子が抱き着いてきた。 今度は逃さないと言わんばかりにがっちりと太子の腕が巻き付いている。 「見たか、これこそ聖徳太子秘密奥義だ!」 馬鹿みたいなことを言っている太子の表情は今までにないくらい得意げで。 「ふふっ。」 そんな太子が可愛くて、愛おしい。思わず私が笑うと太子も嬉しそうに笑った。 「よし、このままゴロゴロするか。」 太子が私を引き寄せて言う。 肯定を表すように太子の胸に擦り寄れば、太子の大きな手が私の頭を撫でてくれた。 ふと太子を見ると今日一番幸せそうな表情をしいてる。 たぶん、私も太子と同じくらい幸せな表情。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 喜怒哀楽/太子 fin 2010.04.09 |