昼休み 昼休みなまえの隣の席に座った。ここは普段座れない特等席。 僕が隣に座ったというのになまえは無言でノートに何かを書いている。よくみると先日休んだところを写しているようだ。 「…言ってくれればノート貸したのに。」 僕となまえは幼なじみで家も近いからわざわざ昼休みを潰さなくてもノートを写すことが出来る。 「妹子のノートは、嫌なの。」 なまえは僕の方に顔も向けずただ手を動かしながら言う。 「なっ…なんで!」 「だって私のノートより上手くまとまっててムカつく。」 「まとまってるならいいだろ!」 かじりつくようになまえに言っても、無視するようにノートのページをめくるだけ。 僕は、はあ。とため息をつくことしかできない。 「せっかくの昼休みが終わっちゃうよ?なまえ。」 お昼食べたの?と聞くと、なまえは顔をあげて時間を確認する。 「えー、今日は昼無しでいいよ。」 「それは駄目!ほら。」 僕はなまえのシャーペンを取り上げてそのまま手首を引っ張り椅子から立たせた。 「妹子、お母さんみたい。」 困ったように笑うなまえと今日初めて目が合った。 「でもね、ノート次の時間までに返さなきゃいけないの。」 だから離して。となまえは言う。 このまま引き下がってたまるか。 「僕が貸すってば!今日僕ん家おいでよ。」 下心があるわけではないけど、さりげなく誘うことも忘れない。 僕の真剣な目と友達から借りたノートを数回見たなまえはニッコリと笑い。 「そうする。」 と言ってくれた。 僕は心の中でガッツポーズを決める。 「じゃ、お昼食べに行こうか。食堂でいい?」 「うん。」 嬉しくてだらしなくにやけてしまうけど、そんなことどうでもいい。 僕はなまえの手首を握ったまま食堂へと歩いていった。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 昼休み/妹子 fin 2010.03.28 |