出発前の確認

「なまえ、まだですか。あんまり遅いと置いていきますよ。」

曽良の苛立つ声が聞こえる。なまえはマフラーを巻きながら慌てて部屋から飛び出した。

「ごめんなさい、今…準備、できました。」

マフラーを巻き終えてひょっこりと曽良の前に出て来たなまえは普段と何か違う。曽良は首を傾げてその姿を見つめた。
あまりにも見つめられるのでなまえは首を傾げ困ったように眉を下げ笑う。

「何か変でしょうか?」

腕を広げ自分の姿を確認するが、おかしな部分など無いように思える。
すると曽良が抱き着いてきた。

「…曽良君!?」

コートの上から確認するように腕を動かすと納得したようで。

「なるほど。随分と着込んでいるのですね。」

そう言って赤くなったなまえの耳に噛み付いた。
突然の事になまえの体が跳ねる。ピクリと反応するなまえに気をよくした曽良はニヤリと笑った。

「…っ!」

「何その気になっているんですか、ほら行きますよ。」

なまえの体を解放すると今度は右手を捕らえ玄関に向かい歩き出した。




















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出発前の確認/曽良
fin
2009.12.04

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