悪戯と仕返し

「疲れてるのかなぁ。」

目の前でスヤスヤと寝息を立てる妹子をみてなまえは呟いた。
最近仕事が忙しいらしくゆっくり会えなくなり、久々に会ったのに眠ってる。
かまってもらえなくて淋しい気持ちはあるが、それ以上に妹子の体が壊れないかと心配になってしまう。

「頑張ってて偉いね。」

眠る妹子を撫でるように髪を触ると色素の薄い茶色の髪がふわりと揺れた。
普段だったら髪の毛を触っていると起きる妹子が微動だにしない。
折角なのでなまえは妹子の観察をすることに決めた。

少し癖のある茶色いおかっぱの髪はよく知っている。
その髪から少しずつ下りておでこ、眉毛、目、鼻、口と指を滑らせていく。

綺麗な眉毛と長い睫毛。
筋野通った鼻にふっくらした唇。
女顔だとは思っていたけど、パーツごとに見ると余計に女に見える。

―可愛い顔しちゃってさ…。なんか、悔しくなってきた。

最初は触れるだけだったけど、起きないから突いたりつまんだりしてみた。

「…全然起きない。」

まさか死んでる?
いやいや、呼吸はしてたよ。

確認のために再び顔を覗き込むとやはり規則正しい寝息が聞こえる。
安心して眠る妹子のおでこにそっとキスをした。
すると下から声が聞こえてきた。

「普通、頬か唇でしょ。」

ぎょっとして妹子から離れると、大きく欠伸をした妹子がいた。

「なっ…。」

なまえは頬を赤くして後ずさった、。
そんな彼女を見て妹子はいやらしく笑う。

「なまえは僕の顔を見てるのそんなに楽しかった?」

妹子はそういいながらゆっくりと近づき、なまえの顎を持ち先程の彼女のように額にそっとキスをした。

「お、起きてたなんて、狡いよ。」

なまえは妹子の手を振りほどきながら噛み付くように言った。
妹子はなまえの行動が不服だったのか眉をひそめる。

「あんなに顔を突かれて起きない人はいないよ。」

再びなまえの顎を捕らえ、今度は頬、唇とキスを落としていく。
なまえは思わず目を閉じてしまった。自分の心臓の音が間近に聞こえてくる。

「なまえは僕が寝てて淋しかったんでしょ?」

耳元でそっと呟く妹子の声に肩がぴくりと反応して。

「ば、か。」

精一杯の反抗だったけど、妹子は嬉しそうな顔をして、またなまえの顔に唇を落とした。

「いっぱいかまってあげるから。」

ニヤリと笑う妹子に優しく抱きしめられて、なまえは眠っている妹子に悪戯をするのはやめようと心に誓った。




‐‐‐‐‐‐‐‐‐

妹子/悪戯と仕返し
fin
2009.11.05

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -