おしとやかに! 「うっせーよ、ばーか」 嫌なことがあると口にする台詞。 今までこんな喋り方をしたからって叱ったり注意をしてくる人なんていなかった。 “いなかった” つまり、過去形だ。 目の前の男は違う。 「女の子はもう少し可愛い言葉遣いがいいとオレは思うなー。特に君は可愛い顔してるんだからさ。」 「はあ?何いってんの??」 馬鹿みたいな帽子を被ってヘラヘラ笑う黄泉の国の王。 振り払うように言葉を続けるが、気にもとめずに笑う。 「だって女の子だよ?折角可愛くなれるのに、自分から捨てるなんて…!」 「じゃあ、てめぇがやれよ」 「いやー、オレじゃ無理でしょ」 鬼男君に怒られちゃうし、なんて言葉を付け加えて更に笑う。 その笑顔が目障りだ。 「ヘラヘラうぜえっつってんだろ!」 「ほら眉間に皺。可愛い顔が台なしだ」 冷たい手が私の頬を撫でる。 「っ…!」 「ほら、いい表情。男勝りも悪くないけど、オレはやっぱり可愛い子が好きだな!」 地獄行きでもかまわない。 私は右手を大きく振りかぶった。 (平手打ちまであと2秒) ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ おしとやかに!/閻魔 fin 2012.09.12 |