聖なる夜に‐妹子サイド‐ 暗い夜道を一人走る。 ふと目をやると暗闇に慣れた目には痛いくらいのイルミネーションが目に入った。 このイルミネーションも今日が過ぎたら取り払われてしまうのだろう。 妹子はイルミネーションの前で立ち止まると皮肉の意味も込めて笑った。 「…っと。」 そんな暇はなかった、と思いだし再び走り出す。 向かうのは愛しい人の待つ部屋。 馬鹿な上司のせいで今日も遅くなってしまった。 いや、正確には今日はもう既に終わっているのだが。 とにかくイブに予定していたパーティを楽しみにしていた彼女への言い訳は何にしようか、むくれ顔の彼女を思い浮かべながら考える。 何と言っても彼女は怒るのだろう。 今度は涙目の彼女に怒られている自分の姿を想像して笑う。 勿論、皮肉を込めて。 「………はぁ。」 目の前に立ち塞がる扉を開く前に気がついた。 真っ赤なジャージ姿の自分。 「くそっ…阿呆か僕は……。」 頭をくしゃくしゃ掻きむしるが、今はそんな時間すら惜しい。 妹子は覚悟を決めて鍵を開いた。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 聖なる夜に‐妹子サイド‐ fin 2011.12.24 |