こんな休日の過ごし方 妹子はテレビを見てる。 ずーっとずーっと見てる。 私は妹子の隣で一緒にテレビを見てるふりをしながら妹子の様子を伺ってる。 もしかしたら、妹子もテレビを見てるふりをして私の様子を伺ってるのかもしれない… とか最初は思ってたけど、妹子は本気でテレビ見ているようだ。 本当はかまって欲しいけど、そんな恥ずかしいこと口がさけても言えないし。 でもさ、せっかくの休日なんだよ。 勿体ないよ、二人でいるのに。 別にずっと私にかまってほしいなんて我が儘言わないけど、手くらい握ってくれたり、私に話しかけてくれたり…してくれてもいいと思う。 そんな意味も込めて再び妹子に視線を向けると、妹子と目が合った。 びっくりして目を反らすと、妹子楽しそうに目を細めた。 「さっきからどうした?ずっと僕のこと見てるでしょ。」 否定の意味を表すように首を反らしながら妹子の言葉を聞いてると、妹子は私の顔を覗き込むように見つめてくる。 「ず…ずっとじゃないよ、たまにだもん。」 「ふぅん。」 妹子は片方の口角を上げる。 これは私を小馬鹿にしてるときだ、ムカツク。 「ほんとだよ、たまにだよ。」 「はいはい、ムキにならない、ならない。」 わしわしと私の頭…というより髪をかきまぜるように撫でる妹子はどこか楽しそうで。 悔しかったから、子どものように頬を膨らませて拗ねてみせた。 「あはは、拗ねた。」 よりいっそう頭を撫でる手を強くしてきた妹子に、本気で怒ろうと思った瞬間、下唇に妹子の唇が触れる。 チュッとリップノイズを立てる、まるで子どもみたいなキス。 呆気に取られて瞬きを繰り返す私を見て、妹子はさらに楽しそうに笑う。 「かわいい。」 「ば、ばか!」 クツクツと笑い声を堪える余裕な妹子と、かまってもらえなくて拗ねた上に予想外のキスに顔から火が出るほど照れてる私。 「も…、妹子きらい。」 「ホントに?」 熱くなった頬に指を滑らせながら妹子は目を細めた。 私を試してる、そんな目。 「うそ…好き。」 「うん。」 そういうと妹子はもう一度私にキスをした。 今度は啄むようなキスからお互いを味わうようなキスまで。 満足するまで味わうと、妹子は私の首に顔を埋める。 「ねぇ、これからしようよ。」 「やだよ。妹子はテレビでも見てればいいじゃん。」 覆いかぶさる妹子の肩を押し返すと、妹子は困ったように笑う。 「なまえは素直じゃないなぁ。」 困ったように笑ってるくせに、どこか楽しそうな妹子は私のささやかな抵抗も気にせず床に押し倒してきた。 誘うようなキスが私の理性を奪っていく。 「ん、あ…ねぇ、やだってば。」 「はいはい。」 もはや抵抗らしくなくなった私の手を優しく握り、額と額をくっつけた。 近すぎて妹子しか見えないのに、どこか遠い唇。 さっきまであんなにたくさん触れていたのに。 「妹子。」 「なに?」 縋るように見つめても、妹子はわからないふりをする。 意地悪だ、意地悪だけどそこが好き。 「もっかい、キスしよ。」 「いいよ。」 目を閉じて妹子とのキスを感じれば、テレビにヤキモチ妬いてたことなんて忘れてしまう。 ああ、こんな休日もいいかもしれない。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ こんな休日の過ごし方/妹子 fin 2010.12.23 |