見習夫婦

日も傾いて長い影が二つ寄り添うように歩いている。

「今日の夕飯は何がいい?」

短い影が、長い影を見上げるように動いた。

「なんでも。」

長い影は前を向いたままそう答えた。

「なんでも…かぁ。どうしよう。」

そういうと頭をフル回転させ始めた短い影の足が少し遅くなり、寄り添うように並んでいた影が少しずつ離れていく。

「なまえ、暗くなる前に帰りたいんだろ?スーパーで決めちゃいなよ。」

「妹子はそう言うけど、スーパーには誘惑が多いんだもん。」

いつまでもウジウジと考えているなまえに妹子は手をのばし引き寄せた。

「今日は僕がいるから無駄遣いさせないって。」

ね?と笑いかけると、なまえは嬉しそうにはにかんだ。
頬が夕日によって赤く染められている。

「うん。」

少しだけ小走りで妹子の隣に歩いていくなまえを待って、二人は再び歩きだした。
今度は離れないように固く手を繋いだまま歩いていく。

「…何て言うかさ。」

妹子はそういうと少しだけ繋いだ手を強く握る。

「ん?」

なまえが顔をあげると一瞬妹子と目があったが、すぐに反らされてしまった。

「なあに?」

「ん、あの…結婚したら、こん感じなのかな、って思ったから。」

尻すぼみで最後の方は聞き取れなかったが、妹子の言いたいことは全てなまえに伝わった。
予想外の一言に言葉を忘れそうになったが、それ以上に喜びがなまえの胸を満たしていく。

「………こんな感じかも。」

なまえは強く妹子の掌を握り返して、笑う。

「じゃあ、今日は練習ってことで買い物しようか。」

「うん!」

二人は同じ未来を思い描きながら、スーパーへの道則を歩いていく。
たぶんその未来はそう遠くないだろう。






















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見習夫婦/妹子
fin
2010.11.22

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