内緒話をしよう

ポカポカと太陽の光が心地よい昼休み。
いつものように昼食を広げるなまえは暇そうに空を眺める閻魔を呼んだ。

「閻魔、ちょっとこっち来て。」

「?」

閻魔は呼ばれるがまま、いつものようになまえの隣に腰掛け首を傾げた。

「何?」

「ん、もうちょっとこっち…耳かして」

「耳っ!?貸せないよ!」

なまえはもう少し近づいて「内緒話」をしようと考えていたのだが、閻魔は慌てて耳を隠している。

「ばっ…何言ってんのさ。あんたの耳なんて欲しくないわよ。」

「だってなまえが耳貸せって。」

「ちーがーうー。ほらこっち!」

「いでででっ!」

いつまでも耳を隠している閻魔の手を抓り、やっと出て来た耳にそっと近づくと閻魔は今までにない早さでなまえから遠ざかっていった。

「ななななっ!?」

珍しく首まで真っ赤に染めた閻魔は目をパチパチさせてなまえを見つめる。
なまえは立ち上がって閻魔のそばまで近づいた。

「何で逃げるのよ。」

「いや、なまえこそ何するのさ!」

閻魔は再び耳を隠しながら、近づいてくるなまえから少しずつ距離をとっている。
しかし、あっという間にその距離は縮められ捕まってしまった。

「大人しくして。」

「わわっ、よせって!」

なまえにしか聞こえない閻魔の悲鳴が学校の屋上に響き渡る。
なまえはどうにか閻魔を押さえ付け再び耳元に近づいた。

「…………。」

「…………………?」

しかし、なまえは何も言わずに閻魔から離れていく。
閻魔は恐る恐るなまえから離れてみたが何も言われない。

「なまえ?」

「閻魔が逃げてばっかりだったから何言うか忘れちゃったじゃない。」

がっかりと肩を落としたなまえはため息をついて立ち上がり、置きっぱなしだった昼食の元へと歩いていく。

「あ、もしかして大事な話だったり?」

「……知らない。」

不機嫌に頬を膨らませたなまえに閻魔は大慌てで近づくが、背を向けられてしまった。

「ご、ごめん、なまえ」

「知らない!もう冥界にでも帰って鬼男って人に怒られちゃえ。」

珍しく冷静さを欠いて怒るなまえに閻魔は青ざめていく。

「ごめんっ!」

どうにかなまえの顔を見て謝ろうとさらに近づくと、にっこりと笑うなまえに押し倒された。

「なーんちゃって、嘘。」

「……なっ、嘘っ!?」

「ねぇ、閻魔。」

なまえはそういうと押し倒した閻魔の耳元でそっと囁いた。



















「    。」



















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内緒話をしよう/閻魔
fin
2010.09.16

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