私たちの幸せ 「鬼男、手繋ご!」 私がそう言って手を差し出すと隣にいた彼氏の鬼男はびっくりしたのか目を大きくした。 そして褐色の肌をさらに濃い色に染める。 「えっ、ああ…はい。」 鬼男は恐る恐る私の手を握った。 かっこよくて優しくて控え目な彼氏は天界の鬼。 しかも閻魔大王の秘書ときたもんだ。 「うふふ、幸せ。」 たぶん天国でこんな風に鬼と付き合ってるのは私だけ。 鬼が人に興味を持つなんて珍しいって閻魔様はいってたもの。 「お、俺も幸せです。」 「ホント?」 鬼男がそんなことを言うなんて珍しくて、鬼男を見つめると照れているのか下を向いてしまった。 「はい!俺はこうして貴女と手を繋げる…いや、そばにいられるだけで幸せです。」 手を少しだけ強く握られて、鬼男の気持ちが繋いだ手から伝わってきそうな気がする。 嬉しくて頬が緩んでしまう。 「じゃあ、ずっとこうしていよう。」 「え…?」 「ずっと、ずーっとこうしていよう。」 私も鬼男の手を強く握り返して笑って見せたら、鬼男は嬉しそうに笑ってくれた。 「はいっ!」 あなたと一緒ならどんな些細な事でも幸せにかわる ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 私たちの幸せ/鬼男 fin 2010.07.10 (2010.07.10〜2010.08.29) |