赤い約束

「妹子の頭は真っ赤っ赤ー」

妹子の部屋で寝転びながら歌っていると、隣で雑誌を読んでいた妹子が迷惑そうに顔をあげた。

「何だよ、その歌…」

「あれ?違うの?」

私は体を起こして妹子の隣に座り直す。
何を読んでいるのかと思い、覗き込むと旅行雑誌。
どうやら妹子は今度一緒に行く旅行の計画を立てていたらしい。

「いや、歌の意味がよくわからないってことなんだけど。」

「だから妹子は赤が好きなんでしょ?」

なんか会話が噛み合ってないような気がするけど気にしない。
私は手持ちぶさだったから妹子横っ腹を突いてみた。すると擽ったそうに体を震わせる妹子。
妹子が横っ腹弱いことなんてお見通し。
クスクス笑いながらしつこく横っ腹を突いていると、妹子は体を震わせながら何とか言葉を紡いだ。

「す、好きじゃないよ!」

妹子の答えに私は思わず横っ腹を突く手を止めてしまった。

「だってお仕事のとき赤いジャージ着てるじゃん!しかもノースリーブ。」

「あれは馬鹿太子が無理矢理…。」

そう言われて私は今日妹子に用意したプレゼントを思いだしがっくりとうなだれてしまった。

「どうしたの?」

「ううん…。私、妹子のこと勘違いしてた。」

「なんで?」

突然テンションが下がった私に気を使ってくれているのか持っていた雑誌を床に置いて私の顔を覗き込む。

「妹子は赤いノースリーブが好きだと思ってそんな服を買ってきちゃった…」

鞄から取り出したのは先週友達と旅行に行ってきたときに買った妹子へのお土産の数々。
見事に赤で統一されている。

「………!」

妹子は一瞬言葉を無くしていたが、次の瞬間私を抱きしめた。

「馬鹿だな、なまえが買ってきたくれたものなら何でも嬉しいに決まってるだろ。」

「本当?」

「なまえがくれるものと太子がくれるものじゃその価値が違うだろ。」

今の台詞仮にも国のお偉いさん(摂政)に使う台詞ではないけど、たぶん私に気を使ってくれているんだと思ったら嬉しくなってしまった。

「ありがとう。」

「こちらこそありがとう、大切に使うよ。」

「じゃあ、今度一緒に行く旅行のときに着てね。」

「…………。」

私の衝撃的一言に固まってしまった妹子だけど、たぶん着てくれるだろう。
だって、妹子は数回目を泳がした後、私を見てニッコリ笑ってくれたから。



















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赤い約束/妹子
fin
2010.07.29

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