短冊に託す願い事 バカップルこと、なまえと妹子は七夕祭に向けて短冊にお願いごとを綴っていた。 「妹子は何て書くの?」 ひょいと、覗き込むように妹子の短冊を見てみるが妹子は腕で隠してしまう。 「ばっ…見ないでよ。」 「いいじゃん、どうせ笹につけたらみんなに見られちゃうんだからさ。」 「嫌だよ。」 そう短く言うと妹子はそっぽを向いて短冊に願いを綴った。 なまえはそのあと何回か妹子の短冊を見ようと試みたが全て失敗に終わり、気が付いたときには妹子の方が先に短冊を書き終えてしまっている。 「けーちー、ケチ妹子!」 「あーもう。いいからさっさと短冊書いちゃいなよ。」 頬を膨らませ抗議するなまえに困ったように笑い、妹子はなまえの身長では見えないようなところに短冊を飾る。 「ケツ妹子!」 「ちょっ、それ違う!ていうか、誰から聞いたの、それ。」 「太子に教えてもらったけど。」 「あんにゃろ…」 短冊を書き終えたなまえは妹子の隣に来て笹を見上げ妹子の短冊を探す。 「そういえば、なまえは何て書いた?」 なまえは妹子の質問に答えるように赤色の短冊を手渡した。 短冊には可愛らしい文字で“妹子の隣にいられますように”と書かれている。 「ははっ…僕と一緒。」 「ホント?」 「うん。」 「二人で同じこと書いてたら嫌がられちゃうかな?」 「かもしれないね。」 そういうと二人はクスクスと顔を見合わせて笑い合う。 「ね、この短冊妹子が飾った短冊の隣に飾ってよ。」 「いいよ。」 二人の短冊は一番空に近い場所に飾り付けられた。 それをみてなまえは満足そうに笑うと、妹子の手をにぎりしめた。 「ね、妹子。」 突然の事に一瞬驚いたような顔をした妹子だったが、すぐに手を握り返した。 幸せそうに笑うなまえに自然と頬が緩んでしまう。 「なに?」 「織り姫様と彦星様の分まで一緒にいようね。」 「うん。」 満天の星の中二人のやり取りを見ていたアルタイルとベガは迷惑そうに輝いた。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 短冊に託す願い事/妹子 fin 2010.07.07 |