小説 | ナノ








「エース、遅いね。待ちくたびれちゃったよ。」
「仕方ねぇだろ、仕事なんだから。ほら、さっさと引けよ。」
「そんなんだからサッチはいつも肝心な所で女の子とうまくいかないんだよ………だァァァア!ババ引いちゃったじゃん!」
「ざまーみろ、そして俺はモテるんだ。お前が知らないだけでめちゃめちゃモテるんだ。もうウッハウハなんだ。」
「…泣きながら言っても説得力ないよ、サッチ。」

ひっくうっくと泣くサッチの背中をよしよしと撫でる私。
私たちは今何をしているのかと申しますと、エースが…っていうより、二番隊が仕事で船を離れて5日の予定で島に行ったんだけど…もうエースが行ってから一週間も経っちゃったんだ。
エース早く帰ってこないかなぁ、ってずーっとぼやいてたらサッチがトランプ持ってやってきたってわけ。
そして、王道のババ抜きをやって冒頭に戻るっていう流れ。

「…はぁ、エース………」
「まだ2日しか延びてねぇだろ。」
「むしろ、なんで私は二番隊じゃないんだよサッチ。なんでバナナ隊なんだよサッチ。パイナップルなのかバナナなのかよくわからないよサッチ。」
「俺はバナナ派だな。」
「聞こえてるよい。」
「…さーて、私は部屋でお昼寝でもするかな!さようなら、敬愛するマルコ隊長!」

いきなり現れたマルコ隊長。
サッチがサーッと青ざめていく中で、私はそう言ってクラウチングスタートよろしく、勢いよく駆け出した…けど不死鳥マルコに敵うはずもなく頭に大きなたんこぶをこしらえて昼寝する羽目になった。
なんとも無様な格好である。

整えられたシーツの上でごろごろと横になる。
棚の上に飾られたオルゴールの一番右端のものを手にとってネジをまわした。
きれいな音楽と一緒に動物達が楽器を持ちながら身体を決まった方向に動かし続ける。
エースに初めてもらったもの、私が何度もオルゴールを聞いたりしているのを見ていたらしく、それ以来エースは度々オルゴールを買ってくるようになった。
知らないんだろうなぁ、エースはオルゴールが特別好きなんじゃなくて、エースからもらったから大好きなんだって。

オルゴールを見ている内に、いつの間にか意識がふわふわとどこかに消えていってしまった。


ざわざわとした騒音が聞こえてきて、あまりの騒がしさに目をゆっくりと開けた。
エースが帰ってきたのかも、とベッドから飛び起きてドアを開けようとドアノブに手をかけようとすると、その前に二回ドアをノックされた。



速達でーす、印鑑の代わりにキスを下さい


ドアを開けたら、小さなリップ音と大きな抱擁。
私の大好きなオルゴール片手にエースがふわりと笑いました。
これ探して買ってたら遅くなっちゃったんだって、私って愛されてるね。
でも、オルゴールよりエースがずっとずっと恋しかったって言ったらエースはまた小さく私にキスをしました。


***

Stand by YOU.様に提出させて頂きました
少しギャグちっくに出来たらな、と。
少しでも誰かの気を紛らわせられたら良いな……










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