「いや、違…」

「そーかそーか!毎回島原も断るから興味がないんだと思っていたが、とうとうお前も女の良さがわかるようになってきたかぁ!」

「じゃなく、」

「よーし!この新八様が女の落とし方を教えてやる!」

「や、おま、話聞け」

「香央の恋を助太刀してやるぞ!」

「……」



酔った頭に新八さんの大声が響いて考えがうまく纏まらないが、とりあえず新八さんは人の世話よりまず自分の恋を何とかした方がいいと思う。



ああ、目が回る…。



新八さんはそんなわたしの肩をぐいっと引き寄せ、なにやら秘め事のように熱っぽく耳元で囁いた。



「いいか」

「は、はい」

「―――女は黙って抱いちまえ」

「……」



どうしよう土方さん、新八さんが阿呆すぎます…。



「お前男だろ?男らしいとこをびしーっと見せてこいよ、びしーっと!な!?」



『な!?』って、物凄く真顔で力強く言われても…。



「……無理です」

「お前…、情けねぇこと言ってんじゃねぇぞ?」

「だって無理です…。きっと力で負けます…」

「なにぃ!?お前、そんなごつい女が好みなのか?」

「や、ごついどころかどちらかと言えば細身かな…、」

「じゃあ、なにが無理なんだよ」

「だって香取流棒術の使い手だし…」

「なにぃ!?どっかの道場主の娘さんか?」

「いや、とにかく無理。」

「ったく、お前は軟弱だなぁ」



新八さんが呆れたように頭を掻いた。



「新八さんは…」

「ん?」

「どうしたら女の人を好きになる?」



わたしの言葉に、新八さんが一瞬きょとんとした。





そしてなにやら想像し、じわじわと頬を赤らめながら腕を組む。



「うーん…、そうだなぁ、別嬪さんに「好きー」って言われりゃ…、そりゃ当然好きになっちまうだろ?」

「そりゃお前だけだ」



左之さんが呆れ返った口調で新八さんに突っ込んだ。






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