会いに来たんだ

部活終わりの帰り道。幸村が学校近くの砂浜へふらりと向かったので、つられるように一緒に立ち寄った。俺たちはこうして時々海へ行く。海岸沿いにある学校に通うゆえの特権かもしれない。
靴に砂が入るのも気にせず進んでいく背中を追うと、波打ち際で立ち止まった。その横で沈んでいく太陽と照らされた海を眺める。何度も見ているはずなのに、夕暮れの海辺というものは綺麗で、そこに浮かぶ恋人の姿もそれは美しかった。空と海の境を見つめる彼の瞳にグラデーションが映る。何を思っているのだろうか。
「海、きれいだね」
幸村が微笑む。
「そうだな」
一言、返す。必要以上の言葉はいらない、そんな気がした。今までそうしてきたように、今日も互いのことを考えて、景色を見るために来たのだ。
日はあっという間に沈んでいく。空はもう赤より濃紺が勝ろうとしていた。
「もう日も落ちるぞ。帰ろう」
「うん、そうしよう。付き合ってくれてありがとう」
じゃあ帰ろっか、と言ってすぐに、何かを思い出したように真田の顔を見る。
「言い忘れてた。俺、真田に出会うためにここに来たことを思い出したって」
どういうことか聞こうとすると、幸村はもうすでにそっぽを向いて歩き出していた。急いで後を追う。
「どういう意味だ?」
「そのままだよ。キミの思う通り」
彼の言動は、ときに深い謎をつくりだす。


........

みじかいやつでした。
いきなり前世系発言をする幸村くんが書きたかっただけです。
ちなみに海とかあまり行かないので100%想像です。


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