ジョナサン・ジョースターはディオ・ブランドーが苦手だ。親友を蔑ろにされ、好意を寄せていた少女を傷つけられて、どうして彼を好きになることができるだろう。それでもジョナサンがディオのことを嫌いだと言わないのは、紳士たれという精神とはまた別の所にあった。
簡単な話だ。ジョナサンはディオを嫌いになれない。苦手意識はあるし、劣等感もある。ディオはジョナサンよりも優秀だ。けれどそれはひとえに彼自身の努力によるものである。それを知っているからジョナサンは、少しでも劣等感を抱いてしまう自分自身がむしろ嫌になってしまうのだった。
 一方でジョナサンはどうしたらディオと本当に仲良くなれるのかを考えていた。血は繋がっていないとはいえ、ジョナサンとディオは兄弟である。世に険悪な兄弟は多くあるだろうが、ジョナサンはディオと仲の良い兄弟になりたかった。しかしそう思っていたのはジョナサンだけであったらしい。ディオはジョナサンを傷つけることばかりする。父や使用人の皆の前では仲の良い兄弟を演じているが、二人きりになった途端突き放す。それがまたジョナサンの中の苦手意識を助長させる原因になる。なんて不毛なことだろうか。


「だから夜はきらいなんだ」


ディオがこの家に来てからというもの、夜の闇はジョナサンに不安しか与えない。ジョナサンは目をつむって眠気がおそって来るのを待つことにした。もう何も考えないですむように、眠れ、眠れと自分に言い聞かせながら。



小さな小さな人間のお話





20140731








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