夜空の星はどうしたら手に入ると思う? 突然に君はそう言ったね。 よくそんなつまらないことを覚えているものだって? 君が僕に何かを聞くなんてとても珍しいことだったからね。 忘れられないんだ。 だって、とても嬉しかったんだよ。 なぜかはわからないけれど、とても嬉しかったんだ。 あの日の星空はとても綺麗だったね。 君が欲しがったのもよくわかるよ。 ただ欲しいと言うんじゃなく、どうやったら手に入るなんて方法を考えてたあたり、君は本当に可愛くない子供だったよね。 ああ、でも君が可愛いなんてとんだ喜劇だから、やっぱり可愛くない君で良かった! ……って痛いよ、頬を抓らないでおくれよ。 全くどうして君はすぐに暴力に走るんだい? お前が言えた義理じゃないって、言われてみればそうだったね。 謝るよ。ごめんね。 じゃあ話を戻すよ。 夜空の星はどうしたら手に入るのか。 その問いに僕はこう答えたはずだ。 それはとても難しいよ、ディオ。 まず星に届くくらいに長い手がいるし、たとえ届いたって星は燃えているから熱すぎて触れやしないよ。 そう君に言ったね。 あの時君は、そんなことはわかっているさと応えたけれど、なぜだろうね、忘れられないんだ。 あの時の君の表情が忘れられない。 ねえディオ、君は笑っていたんだよ。 君は確かにあの時僕に向かって笑ったんだ。 いつもの嘲りではなくて、満面の笑顔でもなくて、哀しそうに君は笑っていたよ。 なぜ君が笑ったのか、あの時も今も僕にはわからない。 君は人間をやめてしまって、代わりに力を手に入れたけれど、どうだい。 君は星を手に入れることができそうかい。 星追うこども 20140731 |