青峰君は馬鹿だ。 これは頭のことを言っているんじゃない。 確かに彼は成績的にも馬鹿だけれど、人間的にも馬鹿なのだ。 でなければ、俺に勝てるのは俺だけ、なんて馬鹿みたいな台詞が飛び出てくるはずがない。 そんな彼を超える馬鹿がいるとすれば、それは紛れもなく僕だ。 彼をあんな場所においてきぼりにして、逃げ出した僕こそ本当の馬鹿だ。 「ひゅまりろーほーばかってほほか」 「日本語で話してください火神君」 もぐもぐとハンバーガーを咀嚼しながら言ったせいで何を言われたのかわからない。 三秒後、ようやくゴクンと喉を鳴らして火神は言った。 「つまり両方馬鹿ってことか?」 「まあ、そういうことです」 「ふーん」 じゅー、とストローを吸って次はポテトに手を伸ばす。 さっきまで小さなピラミッドを形成していたバーガーも残るはあと三つになった。 よくそんなに食べれるものだと思う。 火神の胃袋はきっとブラックホールに繋がっている。 「俺は青峰の奴の方が針金入りの馬鹿だと思うけど」 「それを言うなら筋金入りですよ」 「うるせー日本語難しいんだよ」 そう言うと火神は残り三つのバーガーを消費するべく口に運び始めた。 頬を膨らませる様子がリスみたいに見えて、こんに大きいリスは嫌だなぁと思った。 |