色艶7

Side:Marco



大切に聞きたい、と頬を染めておれに願う☆☆☆の姿を見ているうちに、自分が手にしている本が急速に恥ずかしいものに思えてきた。
いや、最初っから褒められたモンじゃねェが。
すでに手中にあったことすら、存在を忘れていたものを指摘されると一瞬頭が真っ白になっちまうもんなんだな。

☆☆☆の示す机の上に本を乗せた後に振り返ると、真正面に彼女の姿。
頭二つ分は優に見下ろしている状態で、☆☆☆も首の角度がかなり上がっているようにも見受けられる。
それに、おれだって。
こうなれば、目を見て大切に言いてェ。
告白、なんて今までこんなに緊張してしたことがあったか?
いやそもそも、したことなんてあったかよと、あまり動かない思考の元脳内を探るも、すぐには出て来なかった。
背後にした机に腰を浅くかけると、程よくおれの身長が低くなる。
そうなると、☆☆☆とも目線が合わせやすくなった。
改めて。
顔を真正面から見ると、ますます可愛く思えるのは、いったいどんなカラクリになってんだい。
おれを見つめるその表情は、照れたような期待したような、今にも抱きしめてやりたくなる程、愛おしく見える。
染まる頬に触れてェ。
引き寄せて抱きしめて…。
☆☆☆の背後にあるベッドに今すぐにでも押し倒しちまいたい。
そんな衝動に駆られる程、色気を増している☆☆☆の姿。

一呼吸、間を置いた。
そうじゃねェだろう。
☆☆☆が今聞きてェのは、そんなことじゃねェ。
あんな形で始まったおれと☆☆☆の関係を、きちんとしてェんだろう。
だからおれが今すべきことは、溢れんばかりに燃えているおれの今の気持ちを伝えることで。

☆☆☆の顔を正面から見つめると、思いのほか目線の高さが同じで気恥しい。
普段はおれが見下ろすか、もしくはおれが座っている状態なら見上げているかの状態が多く、これはこれで新鮮な気分だった。
目が合うと、頬を染めて時折目線を反らして下を向く☆☆☆に、益々想いは募る一方で。
だがいざ改めて口に出そうとすると、目の前の☆☆☆の愛らしさに胸が高鳴る。
自分でも、驚く程に緊張している。
それまでより、大きく息を吸い込み、それからゆっくりと吐き出して、真っ直ぐに☆☆☆を見つめた。
そのおれの仕草に気が付いた様子の☆☆☆も、おれの目を見つめている。
一呼吸置いた後に、愛しいその名を呼ぶ。


「☆☆☆…」
「は、はい…」
「お前のことが、…好きだよい」
「はい……私も、マルコ隊長が…好き…です」


今、自分が一体どんな表情をしているのか、想像も出来ねェ位には、破顔していると思う。
目の前の☆☆☆も、表情が緩みはにかんだように照れて笑うから、同じような表情になっちまっているんだろう。
赤く染まる美しい頬に触れてェと、自然に腕が上がり☆☆☆の方へと伸ばしていった。
☆☆☆もおれの指の先を目線で追いかけ、触れられる準備をしているのだろうか、胸元で指先を握りしめている。
その軽く握られている拳を見つめていると、欲情してくるのがよくわかった。
今すぐにでも。
☆☆☆の頬と自分の指先が視界に入った時、ふと自分がさっきまでしていたことを思い出す。
果たしてこの手は、綺麗なのか?
さっきまで、デッキブラシで甲板掃除をしていたおれの手。
掃除中だった。
その手のまま、☆☆☆に触れていいものかと、一瞬にして悩み、そうすると上がっていった手の動きが止まる。
触られるのを待っていてくれたのだろう、☆☆☆も不思議そうに止まったおれの手と顔を何度も交互に見つめていた。


「今すぐにでも、この手でお前を抱きしめてェんだが…」
「……はい…?」
「さっきまで掃除してたこの手では、お前を汚しちまいそうで」


何言ってんだい。
海へ出た海賊の手が汚ェことなんか、日常茶飯事。
そんな風に笑われちまっても可笑しくねェんだが、☆☆☆は柔らかく頬を持ち上げて、ふわりと笑った。
いやそれは、確かに、なんだそんなことか、とでも言いたそうではあったが、おれが思う以上に優しい笑い方で。
躊躇い、自らへと引き寄せかけたおれの手を、☆☆☆が下から包み込むように支えて緩く握った。
あいつを殴ったあの日に、止めてくれた時と同じような柔らかく暖かな感覚だった。


「隊長、あの…宜しければ、お拭き致します」


あの日と違うのは、☆☆☆の表情くらいなもので。
おれの手を片手で掴んだまま、慣れた手つきで机の上の箱を開けている。
それは以前に、傷の手当てをしてくれた時と同じ箱で。
開いたその中には、医療器具が詰まっていた。
薄いガーゼを手に取り、洗浄液の類だろう液体を染み込ませている。
その頃には一旦手は離れていたものの、互いの距離感はぐっと近いものになった。
おれの勘違いでなけりゃ、身も心もってやつだ。
流れるような☆☆☆の動き、そう思ってはいたが、必要以上にボトルを机に置く音が大きめに響いた。
よく見りゃ、☆☆☆の手だって震えている。
☆☆☆だって、緊張してんだ。
そう思うと、更に愛しく思えてくるから、不思議なもんだ。

濡れたガーゼを両手に、☆☆☆がおれの方へと向き直る。
広げられたそれに自分から片手を向けると、濡れて冷たくなった布に包み込まれた。
同時に、薄い布を挟んで☆☆☆の指先の感触。
指を一本一本、拭われるその仕草は、不謹慎ながら思っている以上にエロいものだった。
それに、くすぐってェ…。
手当てをされている時とは全く違う、気恥ずかしさも伴う行為に、ますます興奮していく自分。
このまま我慢できんのかすら、わからなくなってきた。
紳士的に、とは思っている。
今ようやく、想いを伝え、それに☆☆☆からも返事が来たというところで。
キスすらしてねェのに、やけに部屋の中のベッドに目が行く。
むしろキスと挿入以外はしたじゃねェかとも、今更ながら自分に突っ込んでしまう。
目の前の☆☆☆は、照れながらも必死におれの手を綺麗にしてくれているというのに。
未だ邪な考えから抜け切らねェおれは、一体どうしたらいいのかすら、わからなくなっていた。
それがもう一方の手を拭って貰っている間も継続し、おれを悩ませている。
むしろ、拭われている手からは常に色気を帯びた感覚が伴うゆえに、全く持って消えてはくれねェ想いだった。
息すら、微妙に上がっているようにも感じ、必死に呼吸を大きめに繰り返した程だ。


「出来ました」
「ありがとよい」
「はい、これで……ッ……あ…」


これで、の続きは、☆☆☆が自分の言葉に気が付き、驚いたことで聞かせては貰えなかったが。
これで、触れる。
遠慮なく。
汚すことなく。
いや、…別の意味では汚し浸食しちまいてェと思っているのを、必死に我慢している。
慌ててガーゼをゴミ箱に放り、どうしたらいいものかと途方に暮れている様子の☆☆☆を見ていると、駆られた衝動に自ら乗る気になった。


「☆☆☆」


名を呼び、片掌を上へ向けて彼女の方へと差し出す。
その意図がわかったんだろう、照れながらも☆☆☆がおれの手にそれを重ね合わせた。
するりと滑らかな指先が、おれのそれに触れる。
さっきまでは布越しだったそれが、直に触れると互いに一瞬ビクッと小さく震えた。
触れた箇所は最初は先端のみだったのが、肌を滑っていくうちに指全体が触れ、☆☆☆の指先がおれの掌へと到達していく。
ゾクリと腰が疼いた。
こちらへ引き寄せてェ感情と、もっと強く触れてェという感情が入り交じり、四本の指で下から、親指で上から☆☆☆の指先を握りしめた。
互いに無言のまま、目線だけを合わせての行為。
そのまま手をこちら側へと引き寄せると、☆☆☆が足を一歩踏み入れておれの方へと近づいてくる。
机に座るおれの足の間へ。
テリトリー内に入ってくる。
堪らず、握りしめた指先を自らの唇へと更に寄せていく。
☆☆☆はその様子をじっと見つめていた。
指先にだとしても、キスがしてェ。
肌に、触れてェ。
そう思った。
それなのに、☆☆☆を怖がらせはしねェかと、今更になって頭の隅で思っちまう。
臆病にも程があるだろうと、突っ込んでやりたかったが、直接肌に触れることに戸惑い、悩んだ末に選んだ選択肢は…。
☆☆☆の手を掴んでいる自らの指先、親指の部分に唇を押しけることだった。
なんとも情けねェ、自分の臆病さに鼻で笑うと、☆☆☆その息がの手にかかり、そして反射して自分の元へと戻ってくる。
空気が動き触れたことによって、☆☆☆もそれに気が付いて指先に力が入った様子だった。


「手、綺麗だよい」
「そッ…そんなこと…隊長、の…方が」


顔を真っ赤に染めて、もう自分でも何言ってんのかわからねェんだろう。
戸惑いと、恥ずかしそうな表情を浮かべて、必死に首を左右に振るから。
堪らなく、胸が鳴った。
可愛い。
今度こそ、直に触れたくて。
掴んでいる指先に僅かに力を込め、親指で☆☆☆の指先を撫でた後に、今度こそ本当に指へ唇を寄せ、そして触れた。
強く力を入れようものなら、簡単に折れてしまいそうな程に、頼りない指先。
一度触れ、離してからもう一度触れた。
☆☆☆からは、隊長、と小さく震えるような声が発せられていたが、構わず何度もそれを繰り返した。
それだけで、足りる筈もなく。
下から掴んでいた手を反転させ、指先を☆☆☆の掌から上へと触れる箇所を変えていき、最終的には指同士を絡めるようにして握りしめた。
やや強めに、繋ぎ合わせた☆☆☆の手をこちら側へと引いてやると、更に一歩彼女がおれの方へと近づいてくる。
もう、離さねェ。
近づいてきた身体の方へも空いた片手を伸ばし、腰へと触れると、もっと近くにという願望を込めて強めに引き寄せる。
☆☆☆は声を発する間もなく、とんっと上半身をおれにぶつけ、間近の位置で足を止めた。
思わずだったんだろう、空いた片手はおれの肩のあたりに置かれている。
その感触がやけにくすぐったく、そしておれに幸福を運んだ。
すぐそばに、☆☆☆の身体。
それだけで、もう我慢してんのも限界ではある。
だが驚かせて、泣かせたくもねェ。
様々な思考が巡り、おれの中でもぐちゃぐちゃで、どう行動するかなんて一つも決めちゃいねェが。
ひとつだけ。
してェと思うのはずっと触っていてェということだ。
まずは、腕。
せっかく掴んでんだ。
顔を横に向け、握りしめている手の甲に、キスをした。
一度そうしてしまえば、もう枷も外れたように何度もキスを繰り返す。
手の甲から手首、腕の内側にかけて柔らかな肌の感触を楽しみつつ、触れるだけでは足りずに今度は啄むように唇を動かしていく。
それは、行為に女の身体にするような動きで。
次第に水音が発せられていくから、おれも興奮が収まりはしねェし、☆☆☆にもそれは確実に伝わっていっているようだった。
証拠に、さっきから☆☆☆の身体が小さく震えているし、なんなら声だって出ちまっている。


「隊長……恥ずかしい…」


絞り出すような声色で、☆☆☆が必死に訴えている。
見ると眉を下げ、困ったような表情をしているが、その顔は赤く染まっている。
ああ、なんて可愛い姿なんだ。
腕にキスをするのを当分止められそうになかったが、その顔を見ているとまた別のことがしたくなり、名残惜しくはあったがもう一度だけ腕にキスをしてから、その行為を一旦止めた。
また後でだって、いくらでも、いつでも出来んだ、これからは。
繋いでいた指先をそっと離し、今度は赤く染まる頬に向けて伸ばした。
肌触りのいい滑らかな素肌に、これ以上どれ程赤く染まっていくのか試してみたくなるような☆☆☆の頬。
そこへ人差し指の背で触れ、そっと左右に揺するように撫でると☆☆☆が耐えきれずに目を閉じた。
きつく、強めに閉ざされた目元に、思わず唇で触れる。
それから、唇を移動して眉、額、と順にキスをしていくと、片方の耳が見えた。
そこも、すでに赤く染まっている。
可愛い。
やべェ…。
迷わず触れる箇所を耳へと移動していくと、☆☆☆から小さな声が発せられた。


「…んッ……」


小さなそれは吐息と共に唇から出た様子だが、おれの熱を上げるには十分すぎる程で。
ああ、まだ告白の途中ってことで、いいよなァ。
僅かな音でも☆☆☆には響く筈。
普段ならこんなあざといマネはしねェんだが、☆☆☆に対してはなんでもやりてェ。
何度か耳へのキスをし、その度に出る☆☆☆の声を堪能し、最後にごく小さく囁くように気持ちを伝えた。


「好きだ」


唇を僅かに動かし、小さな振動のみで伝えた告白。
☆☆☆の身体が跳ねるには十分だった様子で、思った通りの反応に満足した。
そのまま間近で目を合わせてやると、左に一度目線を移動させ、目を合わせてから再び困ったように右へ遣る。
尚も目を見つめていると、困った様子で俯くから、顎の下へ指先を滑り込ませた。
逃がすものか。
顔を上げさせてやると、再び目が合い、そして今度こそ観念したかの様子で☆☆☆からの視線も得ることが出来た。
だがそれは、平気ではない様子がひしひしと伝わってくる。
おれの肩に触れた指先に力が入り、シャツをしっかりと握りしめている。
その衣擦れの感触、肌へダイレクトに伝わる感触が心地よく、そしてくすぐったかった。
ああ、可愛い。
☆☆☆の反応を堪能してはいたものの、そろそろ自分も限界に近いことにはうすうす気が付いている。
そろそろ、やべェ。
おれが。
目の前のこいつがあまりに愛しすぎて、胸が張り裂けそうに熱くなっている。
もうそろそろ、我慢が効かねェ。


「☆☆☆」


おれの腕の中、すでに身を固くし、全身が緊張状態にある☆☆☆の名を呼び、そして彼女の下唇をとんっと指先で二度程触れると、面白いように眉が更に下がっていった。
これから、何をするのかが理解できたんだろう。
全身の力は抜けはしなかったが、その瞼はゆっくりと閉じられていく。
さっきのようなきつく、困惑した後の閉ざし方ではなく。
キスを待つ、☆☆☆の表情が間近にあった。
顎の下を支える指は触れたまま、おれから☆☆☆に顔を近づけていく。
そのまま、距離10センチ、5センチ、……3センチ、1センチ、…ゼロ。
触れ合わせた瞬間は、おれ自身も僅かに震えた。
それに、やっとキスが出来たという気持ちも大きかった。
予想よりも遥かに柔らかく、気持ちのいい☆☆☆の唇。
まるで初めてキスしたんじゃねェのかいってくらいには、おれの鼓動も早くなっていった。
重ね合わせた後に、ゆっくりと離していくと、ほんの数センチ程の距離で☆☆☆と目が合う。


「もう一回、してェよい」


思わず出た願う言葉に、☆☆☆は表情を緩めながら小さく頷いた。
そして再び閉ざされる瞼。
今度はさっきよりは強めに、重ね合わせた。
そしてさっき腕にしていたように、啄むように唇を動かしてみる。
短い距離で☆☆☆何度もの唇を滑らせて合わせると、おれの方が酔い、そして興奮していくのがよく分かった。
気持ちがいい。
もっと、してェ。
やべぇ。
抑え、られるだろうか。
それでもようやく、啄むのを止めることが出来、再び間近で目を合わせることになると、☆☆☆の顔があっという間にとろんとした甘いものになっていく。
それに呼吸も忘れていたのか、唇を離した瞬間から、やけに息が乱れていた。
エロいんだが…。
さすがに理性の限界を感じているおれと違い、☆☆☆は幸せそうな表情で笑うから、なんとかエロ心は奥の方へとしまい込んだ。
代わりに、更に腰を引き寄せて強く抱きしめた。
☆☆☆からも、おれの首筋に両手が回されて、更に密着する形となっている。


「隊長、…大好きです」
「おれも、同じ気持ちだよい」


そう返すと、ふふっと小さく可愛い笑い声が聞こえてくるからたまんねェ。
ああ、同じ気持ちだ。
もちろんだ。
むしろ、それ以上だ。
それよりも、…やべェよい。
これ以上密着すると、本当にやべェ。
☆☆☆のでかい胸が当たっている。
おれの胸元に柔らかなそれが押し付けられている。
それだけじゃねェ。
好きな女とキスをし、こうして抱き合っているだけでもおれのだって、当然硬くなっている。
もう少し、密着されたら理性を保っていられる自信がねェ。
少しクールダウンするべきかと、☆☆☆の後頭部に片手を当てて撫でていると、彼女からも安堵したような気持ちがよさそうな吐息が漏れている。
それすら、今のおれにとっては興奮材料に過ぎないんだが。
それでも指に触れる髪の質感が心地よく、何度かそこを撫でた。
何度目かに、撫でる指先を滑らせていた時、指の向きがずれちまっていたようで、編まれている束の中に入り込んでしまった。
いつも編んで纏め、横に流してある☆☆☆の髪の毛。
もともと緩く編んであったんだろう、おれの指でそれが乱れてしまった。


「ああ、悪ィ…」
「いいんです、今はお仕事中じゃない…ですし」


☆☆☆の身体が少しおれから離れたから、腕の力も緩めてやると、また恥ずかしそうな表情が見えた。
そして、乱れちまった髪の裾、纏めてあっただろうゴムを外した。
髪を下ろした姿は見たことはあるが、こうして目の前で解かれていくと、なぜか背徳感が芽生えてくる。
☆☆☆自ら、髪の中に指先を入れてそれを解こうとしているから、それを静止させ、代わりにおれが髪の毛を梳かした。
痛くねェよう、そっと指を這わせてはいったものの、絡まることなく毛先まで滑っていく。
そして間近で、はらりと解けて降りていく髪の毛。
何度かそれを繰り返すと、真っ直ぐに髪の毛が下りて行った。
☆☆☆は照れくさいのか、おれと目が合うとはにかんで笑っている。
それにつられて、おれも表情が緩んでいくのが自分でもよく分かった。
その間も、指を通すとその都度、おれの指先を滑る美しい黒髪。
何度か梳かしていると、ふわりと漂う☆☆☆のシャンプーの香り。
甘く、心地のいい香りがおれを包み込む。
頭が真っ白になる感覚だった。
目の前にいる☆☆☆のこと以外、何も考えられねェ状態というか。
可愛い。
ダメだ、抑えが効かねェ。
それからは、無我夢中で☆☆☆の唇にキスをした。
触れるだけ、なんて甘いもんじゃなく。
何度も唇を吸い上げ、舐め、それから口内へ舌を挿入した。
☆☆☆の舌も吸い上げたし、甘噛みもしたし、求める自身の欲望に忠実に、呼吸さえ奪うようなキスを、何度も繰り返し行った。
キスの音が部屋中に響き渡り、☆☆☆の切なそうな呼吸音も、混ざり合って。
呼吸の為か、☆☆☆が逃げそうになるのですら許さず、片手を後頭部に当てて自分の方へと引き寄せた。
☆☆☆の口内を思うがままに舐め、堪能した後にようやく離してやれた頃には、互いに呼吸困難にでも陥るのではないかという程、酸素を欲して息を乱していた。
顔を赤く染め、苦しそうに何度も短い呼吸を繰り返す☆☆☆。
あまりに本能のままに、キスを求めちまったから、引かれただろうか。


「た、…ッ…たいちょ…っ…」


その後なんと続くのか、らしくもなく怯えた。
そんな弱気なおれを知ってか知らずか、☆☆☆は困ったような表情から一転して、さっきと同じふわりとした笑みをおれに向けている。
照れている様子で、さっきよりも早口でおれに伝えてくれた。


「…すき、…」


打ち抜かれたのかと思った、
半ば本気で。
やべェ。
やべェよい。
可愛い。
もうダメだ。
ああ、可愛い。
可愛すぎんだろ。
やべェ。
☆☆☆。
おれの、☆☆☆。
可愛い。
好きだ。
もう、ダメだ。
抑えなんか効かねェ。
繰り返し、考えられんのはそういうことばかりで。

未だ理解せず、ただ嬉しそうにしている☆☆☆の身体を抱き上げた。
宙に浮いた状態で、驚いておれにしがみ付いている。
机から腰を持ち上げると、更に高い位置になったからだろう、小さく悲鳴も上げていた。
それを気にしてやれる余裕なんか、今は残っては居なかった。
真っ直ぐに、ベッドを目指す。
広くはねェ部屋の中、二歩程歩けばすぐに到達してしまう☆☆☆のベッド。
そこへ、腰から背中、そこから後頭部を支えながらそっと☆☆☆の身体を下ろしていく。
☆☆☆の身体をベッドへ横たえた後に、すぐにその上へ乗り上げるおれ。


「可愛い、好きだよい……☆☆☆」


驚いている☆☆☆の唇へ短いキスをすると、目を閉じるのすら忘れちまっているようだった。
全体重は掛けねェように、腕で身体を支えつつ、もう一度キスをし。
腰を支えていた手を滑らせて腹部の方へと移動すると、☆☆☆の身体がぴくりと動いた。
そして僅かに身じろいでいる仕草も見せている。
これ以上は耐えられねェ。
ナース服の上から、☆☆☆の下腹部を撫で、それから一語一句はっきりと伝えた。


「今日は☆☆☆の奥、中まで入りてェ」






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