今日はメーラが任務へと出かける日。数日かかるらしいそれに荷物はトランクにぎゅうぎゅうと詰められて、放り投げたそれをリーダーが受け止めて車に乗せてた。今回のCompagno(パートナー)はリーダーらしい。暗殺と記憶処理はそんなに時間もかからないだろうけど、仕事そのものより移動の方に時間がかかるらしい。
数日もメーラに触れられないなんて、溜まっちゃうな。で、リモネと俺とで送り出し。リモネってのは俺とメーラとの愛の結晶ってやつだ。所謂目に入れても痛くない存在ってやつ。俺がこうしてパードレをやってるんなんて昔の俺には思いもしなかっただろう。いやあ、ほんとにさ。
「「マードレいってらっしゃーい!!」」
「リモネにはお土産買ってくるからねー」
「俺には!?」
「あんたは大人しくしてたらくれてやるわ」
「パードレ、良い子におるすばんしてないとだめなんだよ!」
メーラに抱きつきながら、メーラはリモネを抱き返しながら、二人して俺に良い顔を向けてくるものだから、嗚呼行かせたくねえなあ。と思ってたけど、遠くから静かにされど確かにリーダーが、いい加減にしろ。と伝えてくるから俺は涙を飲んで送り出すしかない。
「メーラ、いってらっしゃいのキスしてやるぜ」
「リモネはい、ちゅー。いってくるねー」
「ちょ、俺は?ねー、俺はー?」
リモネはリーダーにも手を振ってる。それに小さく返すリーダー。これは危険だ!と、リモネを腕の中に閉じ込めながら目を隠してやる。
ずいっと近づいて愛しいメーラの唇を奪って愛を囁けば、やっと素直になって愛を返してくれるんだ。
「パードレ何してるの?おめめかくしちゃいやだよ!」
「リモネいないいないばあー」
「ばあー!」
ああ、ほら、マードレは行っちゃったよ。
じゃあ今日は、イルーゾォを鏡の中から引っ張り出しておいかけっこでもしようか?鬼は俺とリモネで二人だ。やつが音を上げるまで追い掛け回してやろうぜ!昼飯は二人で作れるか?その後はペッシに隠れて悪戯をして、シエスタだ。きっと、転寝から起きた頃にはプロシュートの奴がおやつでも用意してるだろうな。ギアッチョをからかって遊んでおませなこの子と一緒にソルベとジェラートの話を聞くんだ。で、ホルマジオの作った夕飯はうまいだろうなあ。夜更かしは無しで一緒に寝てやるんだ。あーあ。
「マードレが早く帰ってくればいいんだがな」
「マードレは今行ったばかりだよ?パードレはさびしやがりさんだねえ」
「だな。だからずっと一緒にいてくれよ」
正しくは、「寂しがりやさん」だな。可愛いからそのままにしておこう。
これは嫁になんて出せないな。だ、なんて未だ顔も見えてこない何処ぞの馬の骨を脳内で蹴飛ばして、ちっちゃな手を引いて玄関を後にした。