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ねえねえ赤司くん、今日はとってもあたたかいねえ。そうだね。もう春なんだねえ。暦ではとうに立春はすぎて、春になっているけどね。春といえば、もうすぐはーるですねえ!だよね!随分と選曲が古いね、僕らは生まれていないじゃないか。名曲ですから!アイドルっていいねえ、きらきらしてるよ。そう見えても、裏では過酷なことをしているんだよ。きらきらとはかけ離れたことをしている者もいるだろう。…赤司くんみたいな人をリアリストっていうんだよね。たとえば富士山ひとつをとっても、すばらしいとかきれいとか言う前に、実はごみだらけだとかそういう感想をのべるんだよ。現実主義者は好まないかい?そういうんじゃないけど。ちょっとさみしいなって。さみしい?うん、さみしい。感動を知らなさそう。たぶん赤司くんにとってはなんでもアタリマエなんだよ。そうかもしれないね。さみしくないの?思わないよ。…そう。ねえ赤司くん、もうすぐさくらが満開になるね。そうだね、天気によっては時期がもっと早まるだろう。ねえ赤司くん、お花見がしたいよ。すればいいじゃないか。早くしないとさくらが散ってしまうよ。…赤司くんのばか。…京都はもうさくらは咲いてる?今日の天気でずいぶんと多くの花が開いたよ。そう、こっちはまだつぼみが目立つよ。直に満開になるさ。…そうだね。ねえ赤司くん、さみしいってわかる?わかるよ。うそ、わかってない。知らないでしょ。なんにもわかってない。赤司くんのわからずや。ひどい言われようだな。さみしい。唐突だね。さみしいってことばを言っただけだよ。それだけ、ほんとにそれだけ。そういうことにしておくよ。ほんとだもん。わかってるよ。わかってない。今日はずいぶんとご立腹だね。赤司くんのせいだよ。僕のせいか。うん。ぜんぶ赤司くんのせい。それじゃあどうしたら許してくれるのかな?そういうのは、自分のあたまで考えてこそだよ。つめたいね。赤司くんにくらべればずいぶんとあたたかいはずだよ。そんなにつめたいかい。うん。それじゃあその冷えたあたまで考えるとするよ。…赤司くん。なんだい。わたしはね、お花見がしたいよ。…そうか。うん、あたたかくってしずかなところで、さくらをながめたいよ。良いねがいだね。…赤司くんのばか、もう知らない。つぎにさくらが咲きはじめるまえに、探しておくよ。…ばーかばーか、そんなので許してやんない。厳しいな。不貞寝してやる。今から冬眠かい。うん、つぎの春まで起こさないでね。それじゃあつぎの春に起こしてあげるよ。…うん、待ってる、それじゃあおやすみ。


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