どうしてそんなに寂しそうな顔するんですか。


あの人じゃなきゃ駄目なんですか。


私じゃ、


駄目なんですか?


私が好きな貴方はあの子が好きで




『あの、土方さんは…?』


聞いた相手を間違えたみたいだ。


「…多分、姉上の墓参りだ、
今日、命日だろィ。」


沖田さんにとんでもなく睨まれながら、言われた。


『そう、ですか…』


…そっか、


そうだよね。


土方さんが行かないわけないよね。


「お前、土方さんの事好きなのか…?」


――…え?


『…えっと、「あいつだけは、」?』


「あいつだけはやめとけ。
どうせお前も泣かされて終わるだけでィ。」


『………。』


「姉上の二の舞にだけは、ならねェで下せェ。
お前には、笑ってほしいんでィ。」


『……え?』


――何でもないでさァ


そう言って行っちゃった沖田さん。







――――――――――






結局、来てしまいました。


ミツバさんのお墓。


『あっ、土方さ…っ』


こんな軽い気持ちで来なければよかった。


もうちょっと覚悟すればよかった。


だって、初めて見たんだもん。


――土方さんの泣き顔なんて


嗚咽を漏らして泣くんじゃなくて、男泣きというか、涙が流れている事を気づいていない感じ。


『……っ…』


自分の気持ちも伝えないヘタレの癖に、ミツバさんには勝てないことは分かってる癖に、一丁前に嫉妬はできるんだ。


土方さん、何でその人の為に泣くんですか。


自分の醜さが大嫌い。


――何で私を見てくれないんですか。


――土方さん、私じゃ代わりにはなりませんか…?




END
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