誕生日を迎えた朝。
デッキではマルコとジョズがにやにやしながら話をしている。
「親友は男になれたかねい。」
「****が初めてなわけじゃないだろ?」
「****の前でだけはいつもへタレってことだよい。」
「ああ、なるほどな。」
「同じ部屋に一晩だぞい。」
「俺はあいつが男だと思いたいが。お前は?」
「……どうだろねい。お前が思うようにはなってない気がするねい。」
苦笑いを浮かべるマルコ。
自分が、誕生日に好きな女と部屋に二人きりならいざ知らず。当事者は、好きな女の前でだけは積極的になれないあの男。マルコの予想では、どうにもエースが****に手を出しているとは思い難い。そのとき、ふらふらとデッキに姿を現した人物に、マルコとジョズはにやっとした。
「ほらねい。」
「確かに。」
目の下にきっかり隈を作り、マルコの隣に倒れこむようにして腰を下ろしたエース。笑いをこらえながら二人は親友に尋ねてみた。
「プレゼントはいかがでしたかい?」
「……てめー…」
がくっとうなだれマルコを恨めしげに見るエース。ますますおかしくて、マルコはついに笑い声をあげた。
「……笑うな。」
一緒に寝ていい?
そう聞かれて、動揺しまくりだったけど当の****は純粋に一緒に寝たいと思っただけで俺の理性なんかお構いなし。どれだけ抱きたいと思ったか。でも…隣で無邪気に寝られたらそれ以上何も出来ねーだろ!!
「あー…ねむてぇ。」
「くっく…部屋貸してやるよい。」
「…誰のせいだと…」
顔を真っ赤にして照れているエースが妙に初々しく感じる。
見ていて本当に飽きないヤツ。
だが、とりあえず前には一歩は踏み出したようなので、マルコは胸を撫で下ろした。
今までよりももっと速く遅くは少なくだけどゆっくり。
MENO LENT