バレンタインなのに、なんで僕の彼女は不機嫌なんだ?頬を膨らませたまま全然こっちを見てくれない。

「ルーシィ、何怒ってるの?」
「…別に、怒ってないわよ。」

いや、どう見ても怒ってないわけないんですけど…。全然目合わせてくれないじゃん。

「せっかく二人になったのに、こっち見てくれないの?」
「……。」

さっきまでチョコレートの渦の中に居た僕(正確にはチョコレートを持った女の子達の集まりの中)はようやく帰ってくることが出来て、先に帰ってしまった可愛い恋人の部屋に居る。

…あれ?もしかしてそれで怒ってるのかも。

「あー、あのさ、ルーシィはチョコくれないの?」
「あげない。」
「え?!なんで?!くれないの?!」
「……うん。」

ありえない!!

だって今日はバレンタインですよ?!

他の女の子だってくれたのに、恋人のルーシィからもらえないなんて聞いてない!

「…なんでくれないの、ルーシィ?」

僕が後ろからルーシィを抱き締めると、彼女はぷいっとそっぽを向いたまますねて言う。

「もういっぱいもらってるでしょ?」
「…。」

やっぱりそういうことだったか。

あーあ、なんでわかんないんだよルーシィ。

「そりゃあそうだけど、でもルーシィのが欲しいんだよ。」

君からのじゃなきゃ意味がない。

僕の心を満たすのは

後にも先にも君しか居ない。

他の人じゃ駄目なんだ。

君からの愛しか必要ない。

「……絶対あげない。」
「……。」

意固地な君も可愛いけど

素直な君はもっと可愛い。

だから…

「じゃあ、いいよ。もっといいモノ貰うから。」
「…え?」

僕はルーシィの顎をくいっと掴んで強引にこっちを向かせた。

そのまま優しく口付けて、にやっと笑う。

「チョコレートの代わりにルーシィをくれるってことでいいよね?」
「…!!!!」

真っ赤になって僕から離れようとするけどもう遅いよ。

ルーシィの腰をがっちり支えてそのままもう一度唇を重ねる。そのまま舌を絡めて息をする隙さえ与えてあげない。や、ロキ待って、とか可愛い声が途切れ途切れに口から漏れてくる。そんなこと言われたら僕のことを煽るだけなのにこの子は全然わかってないんだ。

「好きだよルーシィ。」

耳元でそっと囁けば、小さな声で「あたしも…」と呟く可愛い可愛いお姫様。

ああ、こんなことならヤキモチ妬かないで素直にチョコ、渡せばよかった…。
そんなルーシィの心の声が聞こえてきたのは、僕だけの秘密。



HAPPY VALENTINE...





チョコレートより甘いものをいただきます



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