―好きか嫌いか聞かれたら、確かに好きだ。仲間だし、なんだかんだで優しいし。でも、別にそれ以上の感情なんか……ない、はずなんだけどな…。


仕事帰り、グレイはなんとなくルーシィの家の前に来ていた。別に約束があったわけじゃない。本当に、ただなんとなく、だ。自分でも何故ルーシィの家の前に来てしまったのかはわからないグレイは今懸命に、ここに来た理由を考えていた。確かに、ルーシィとは今日一度も逢って居ない。今までそんな日は無かったような気がする。なんだかんだ、ギルで必ず逢っていた。しかし今日はどういうわけか、すれ違いではじめてルーシィに逢っていない日だった。

「あれー??どうしたのグレイ?」
「!!ルーシィ!」

紙袋を両手にぶら下げ、寒さで少し鼻と頬を赤くしたルーシィが、気の抜けた声で自分の家の前で立ち尽くすグレイに声をかけた。金色の髪が夕焼けの光で亜麻色に染まる。グレイはまさかルーシィに遭遇するとは思わず、動揺して顔を真っ赤にした。

「な、なんで居るんだよ。」
「何でって、あたしんちだし、ここ!今日はレビィちゃん達と鍋パーティーなの!グレイこそ何でいるのよ?」
「お、俺は…………」

確かに、ルーシィの言うことはもっともだ。彼女の家に自分が居る事がおかしい。友人だから、遊びに来たの一言ですむはずなのだが今日はもっと別に理由がある気がして、どうしてもそれが言えなかった。

「グレイ?」
「………////」

様子のおかしいグレイの顔を覗き込むルーシィは、彼が耳まで真っ赤になっているのに気が付く。

「顔真っ赤よ!風邪引いたんじゃない?!」
「…るせー…///ルーシィのせいだろ…///」
「?なんであたしのせいなのよ。」
「…俺、帰るわ。」
「あ、ちょっと…!」

気が付くとルーシィの家に来てしまったのも、彼女が居ると身体中の体温が上がるのも、そして今逢えて嬉しく思ったことも、グレイは初めて分かった気がした。

「なんでいきなり自覚すんだよ。」

―もう、きっとずっと、ルーシィを好きだったんだ。

「ライバル…多いよな。」

さっきまで秋の夕焼けが街に射し込み辺りは橙一色だった。それなのに今は、景色がキラキラと輝き、色鮮やかな気がする。

「好きって言ったら、あいつどんな顔するかな?」

―それは明日の楽しみにしよう。

気が付けば君の家の前
どうしたの?
微笑む君に
なんだか今日は逢いたかった気がする


(何しに来たんだろう、グレイ。)
(ルーちゃんに逢いに来たんじゃない?)
(///ま、まさか!!)
(明日あたり告白されたりして♪)
(もぉ〜、レビィちゃんもミラさんも、やめて〜///)

―でも、そうだったらいいのにな。






無意識に逢いたい人



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