「なんだこれ。」

部屋に戻ってきたシリウスはなんとも間抜けな声を出した。何故かはわからないが、今、彼の部屋には****がいる。****はまあつまり簡単にというか一言でいえばシリウスの恋人………だったらいいなとシリウスが願い続けている想い人だったりする。端から見たら両想いなのだがシリウスのへたれた度胸と****の冷静さはなかなか両者をくっつけず周りからしてみれば焦れったいを通り越して苛々するまでに至っていた。そんな****が今、目の前に気持ち良さそうに寝ている。しかもパジャマ、ではなくなんともまあ可愛らしいルームウェアで、だ。一体何の拷問だろう。毛布のかけられていない****の長く白い足がまげられて、キャミソールの隙間からは白い胸が見えそうな際どい角度。あ、やばい勃ちそう、とシリウスは思わず股関を片手で押さえた。
いやいやまてまてこれは夢だ夢に違いない、じゃなかったら****が俺の部屋にいるはずがないしつーかジェームズはどこ行ったんだよちくしょう、あーそうだな、まずは夢を覚まそうかな、いやでも夢だったらもうちょいこのままでも…考えているうちにうーんとみじろぐ****のなんとも色っぽい声。これは襲っていいというサインでしょうかグリフィンドール様。いや、だめだろ。信頼問題に関わるだろ。つーかもったいねえし、いやいやいやどうすんだこれ。
シリウスはちらっと****の顔を覗きこむが、無防備な寝顔に性欲は勝てず、ゆさゆさと****を揺すり声をかけた。

「………****さーん、起きてくださーい。」
「んぅ…んん…シリウス…」
「―!!!!」

****は全く起きる気配がないまま、シリウスの腕を引き寄せた。体勢を崩したシリウスはそのまま****の首元に倒れこみ、自然と彼女に覆いかぶさる形となり脳内は爆発寸前、下半身はあっという間に元気になり…ああもう駄目だごめんなさいグリフィンドール様、と****のキャミソールに目を向ける。目を向けるがここでもまさかの事態に身体中が爆発しそうになるほど熱くなった。

「なんでノーブラ…………」

触ってくれって言ってるようなもんじゃねえか、とぐらぐら理性との狭間を行き来する。だが既に固くいきりたった自分自身はどのみちこのままでは眠れそうにない。寝ている女を犯す趣味はないがそれでも些細な悪戯くらいは許してもらえるはず、とシリウスは右手を双丘に伸ばした………ところで脳内ハウス。寸前でストップがかかるも脂汗がだらだらと身体中から吹き出してくる。

「頼むー…早く帰ってきてくれよジェームズ…!!!」

柔らかな身体になるべく触れないよう、シリウスは腰から下を出来る限り浮かしていたがいつまでもこの体勢を取り続けていられるわけじゃない。おお神よなんでこんなことになってしまったのでしょうか金輪際悪戯はやめますからどうか助けてつかまつりたもふこれは拷問だ、拷問です助けて!!!とキャラ崩壊しつつあるシリウスだったが当然誰も助けに来ない。

「……抜きてぇ。」

ボソッと呟かれた言葉も寝ている****には届かない。シリウスはゴクリと生唾を飲み込んでから恐る恐る彼女の白い腕を自分の首元から外すと、音を立てないようにベッドから降りて横にあるソファーに腰掛けた。

「…クソッ…!」

これが****じゃなければ、他の女なら我慢なんかせずにすぐに起こして襲っていた。だが****だけにはそれができないとなれば、まずは一度抜くしかない。シリウスはジッパーに手をかけてゆっくりおろすと固くなった自身に下着越しに触れ、我慢汁で濡れた下着に苦笑いを浮かべた。我ながらよく我慢した、と自身を取り出し隣にいる****を見つめる。自然と手は動き出していて、彼女の白い肢体に舌を這わせるまさにその行為を脳裏に描けば一気に快楽が押し寄せてきて、息がどんどん荒くなっていた。

「…は…っ…****…!」

びくん、と大きく自身が脈を打てば白濁の液体がどくどくと溢れだし、それはティッシュで受けとめられる。

「…はぁ…はぁ…………何してんだ俺。」

好きな女の前で自慰など、背徳感は確かにあるも抱けない事実に虚しさがのこり、自身をしまうがそれは一向におさまらない。あ、こりゃ実際にヤらないとダメだな、と溜息をついてはみるものの襲うことなどできるはずなく、ああそうだリーマスの部屋に泊めてもらおうと我ながらいい案だと扉に手をかけるも、外から鍵がかかっていて出ることが出来なかった。再び脂汗が流れるシリウスは、助けてくれ!!!と大声を出して一晩中拷問にあっていたとか自慰にふけっていたとかなんとか。


翌朝何も知らない****が目を覚ますと隣のベッドにシリウスが眼の下に隈を作って「よお。」と座っていたので、なんでシリウスがここにと口を開けば、俺が聞きたいねと廃人になりかけながら小さく呟く彼。

「ここ、シリウスの部屋…?」
「ああ。安心しろ、なんもしてねえから、つーかもうそうゆう次元じゃねえから。」
「あ、らそう……///って、いえ、そうじゃなくてわ、私、昨日は紅茶を飲んで…」

無心装う、いや廃人に成り下がっているシリウスにもじもじするが、だけど紅茶を飲んでからの記憶がないわ、と眉間に皺を寄せる****。その言葉にシリウスは眉をぴくりと動かす。

「紅茶は自分で煎れたのか?」
「い、いいえ、昨日はジェームズから渡されて………………」

ああ、そういえばそれを飲んだ時にニヤニヤしながら悪戯半分成功かななんて言ってた気がするわその後すぐに眠ったのかしらと言えば、もう目の前にはシリウスはいなくて、いつの間にか鍵が解錠されていたらしい扉から、****は彼がかけ降りて行った階段を覗きこんだ。





眠れそうにもありません



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