「恋?」
「そう、ルーシィくらい可愛かったら今までたくさん恋してきたのかな〜、なんて。」

いつものようにミラさんの作ってくれたジュースを飲んで仕事の話(ほとんどがチームの愚痴)をしていると、にこにこしながらそう尋ねてきた。

一体何故。

「…な、なんでそんなこと聞くんですか?」
「だーって、今ルーシィの周りにたくさん年頃の男の子がいるのに、なんにもないのかなって気になるじゃない♪」
「年頃…」

まあ、ミラさんが気になるのもわからなくはないわ。周りにはナツもいればグレイも居て、ガジルにレオ、それに遠いけどリオンにヒビキにイヴにレン………。皆それぞれかっこいいのかもしれないけど…。

「今までは付き合った人何人くらいなの?」

一番痛い質問だ。愚問だ。こうゆうのって何人なら妥当なの?!17歳で何人なら普通ね、とか、少ないのね、とか、多いのね、とかなるのかしら?!うーん、わ、わからないわ。えーい、と、とりあえず!

「じゅ………10人くらい、かなあ…?」

ああ、虚しい。
だってあたし、彼氏はおろか、誰かを好きになったことなんか一度もないのにぃ…。

「10人?あら、ルーシィってば「10人?!!!!」
「きゃあ!!!!」

いきなり横から声がしたと思えば何時の間にやら隣にはナツと、プラス1でハッピーが居た。「おいらそうゆうのなんていうか知ってる!ルーシィプレイガール!」なんて楽しそうに笑うハッピーとは逆に目を点にしたまま動かないナツ。な、なんなのよ…。

「お前…10人も付き合ったのか?」
「え?」
「10人って…二桁じゃねーか!!」
「だ、だったらなんなのよ…」
「俺そんなの聞いてねーぞ!!」
「なんでいちいちあんたに付き合った人数報告しなきゃなんないのよ!」
「…もういい、行くぞハッピー。」
「ナツ?」
「ち、ちょ、ナツ?!」

さっぱりわからない。なんでいきなり機嫌悪くなったのかしら。ナツは時々わからない。普段馬鹿だし子供だしすぐ物壊すし大抵迷惑こうむるのに、時々大人だったり時々意味不明だったり。
あたしはナツから視線を戻してミラさんにため息をついた。

「はー。なんなんですかね、ナツってば。」
「ふふ、妬いたんじゃないかしら、ルーシィの過去に。」
「妬くぅ?」
「まだ子供だから、ナツは。」

嫉妬に大人も子供も関係ないけどね、なんて笑うミラさんの言ってることがよくわからなかった。恋愛経験のないあたしでも嫉妬くらい知ってる。嫉妬っていうのは、好きな人にするもので…気に入ってる人にするもので…いや待てよ、嫉妬って、もしかしてあたしがナツより付き合った人数が多い(嘘だけど)から悔しいのかしら?ナツが嫉妬したのだとすればあたしを気に入ってるからで、ナツにとって、あたしが好きな人だからで、だけど悔しくて……………………………。

「………な、なんかよくわからなくなってきた。嫉妬って、なんで?!」
「ふふふ♪それはナツに聞くのが一番早いわよ。」

教えてくれないミラさんの笑顔は相変わらず何を意図しているのか掴めない。あたしはこのままナツが機嫌が悪くて仕事に行ってもらえなくなるのは困るからとりあえずナツのところに行くことにした。

「ナツぅ。」

出て行ったナツはぶすっとした顔をして、木にもたれかかっていた。一体何が気に入らないんだか…。

「ちょっとぉ、何怒ってるのよ。」
「別に怒ってねえよ。」
「怒ってるじゃない。ちゃんと言ってよ、あたし何かした?」

ナツの前に立って屈んでみたけど相変わらずこっちを見ない。ハッピーがおろおろしてるところを見ると、きっとハッピーもナツが怒ってる理由を知らないんだわ。


「ナツ……ちゃんと言わないと…エルザ呼ぶわよ。」
「!!!卑怯だぞルーシィ!!!」
「あーんエルザあ、ナツがあたし「わ、ばか!!!!やめろ!!!」
「むぐ…」
「わ…!!」

ナツがとっさにあたしの口を押さえた勢いで、あたしとナツはそのまま倒れこんだ。あれ?なんだかナツが近いわ。てゆーか、あれ?これは、この体勢はやばいんじゃ。恋愛経験のないあたしでさえ―。

「ナツ、どいて。」
「………嫌だ。」
「は?何言って…」
「ぜってーどかねえ。」

ナツの顔があと少しで、唇が触れる距離にある。やだ、なにこれ、し、心臓がうるさいかも。

「ちょっとナツ…」
「ルーシィは…10人付き合ってきた奴がいいか?」
「はあ?」
「じゃあ俺も10人付き合ってくればいいんだな!」

どかないと言ってたナツはいきなり立ち上がり拳を打つ。あの、何の話してるかまったくわからないんですけど。

「ナツ、何言ってんの?」
「あ?ルーシィに釣り合うように俺も10人の彼女作ってこようと思ったんだ。」
「……あい?」
「ルーシィがオイラになった?!」
「あのー…ナツ?」
「待ってろルーシィ!!!俺ルーシィにふさわしい男になってくるからな!」

そう言うや否や、走って行ってしまったナツにあたしはきょとんとその場に立ち尽くした。
今のって…




「告白?」


そう呟いた時、あたしの胸が音を立てて跳ねた気がした。







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