「レビィちゃん…そうだよね…あたしそんなこと考えなかったかも…でも…今のロキは…」
「ルーちゃん。」

レビィは空を見上げながらそのまま話を続けていく。

「ロキは、星霊界に帰れて確かに嬉しいと思うし、向こうの世界を懐かしんだりしたいとは思うよ。」
「うん。」
「でもね。でも、それよりもきっとルーちゃんに逢いたいって思ってるとあたしは思う。」
「……。」
「ロキ、女の子好きそうに見えるけどさ、でもルーちゃんのことしか考えてないんだよホントは。」
「…そう、なのかな?」
「うん。ルーちゃんに逢ったときからね。あたしはロキを見てきてそう思ってるけど。」
「…。」
「だから、寂しいなら我慢しなくていいんじゃないかな。ルーちゃんが寂しいって思ってるならきっとロキも同じ気持ちだと思うよ?」

にっこり笑いながらレビィにそういわれたルーシィは今まで我慢していた【ロキに逢いたい】という気持ちがぶわっと溢れ出してくる。

すくっと立ち上がりルーシィは先程の不安気な顔と打って変わった、迷いの晴れたような顔でレビィに微笑んだ。

「…ありがとう、レビィちゃん!」

そう言って家に帰ると言い残しルーシィは妖精の尻尾を後にした。


「アリエス、久しぶり。」

二人は抱き合っていた手を離し懐かしむ。アリエスは今にも泣きそうな顔をしてロキを見つめている。

「レオ、ずっと逢いたかった…私のせいで酷い目にあって…ごめんねレオ…ごめんなさい…私、あなたにずっとお礼も言えなかった…」

3年前にロキが無理矢理入れ替わってくれたおかげでカレンからの酷い処遇から逃れることが出来たアリエスだったがその代わりにロキが罪人として永久追放されてしまったことに随分とショックを受けていた。星霊界の法廷裁判長などに懸け合ったりしたのだが全く取り合ってもらうことも出来ず、もうロキが死んでしまっているのではないかとさえ感じていたのだった。

「いいんだ、君が気にすることじゃないよ。僕が勝手にやったことなんだから。それよりも今は元気にしてるの?」
「うん、あれからは…レオは?今は誰とも契約してないの?」
「僕は……ん?」

途端、自分の体が白く輝き始めたことにロキは思わず顔がほころんだ。ルーシィだ。

「レオ、誰かと契約してるの?!」
「うん。僕を助けてくれた子とね…。じゃあアリエス、僕もう行くよ。」
「…っ帰ってきたら、話したいことあるの!!聞いてくれる?!」

アリエスが叫ぶ声にロキは返事をしそのまま光の中に飲み込まれていった。




場所はルーシィの部屋だった。すっきりと片付いている部屋の中に何気無く漂う気品ある雰囲気にルーシィの育ちの良さを実感させられる。ロキは呼び出されたものの肝心のルーシィの姿が無いことになんとなく不安を覚えた。

「ルーシィ?」

呼んでみるものの返事がない。呼び出されたのだから絶対に室内にはいるはずなのだが。

「びっくりした?」
「ルーシィ!」

ふいに後ろから声をかけられ振り向くとカーテンの中から顔を出したルーシィが悪戯な表情で笑っていた。ロキは久しぶり過ぎて、もう一年以上はルーシィに逢っていないのではないかと錯覚してしまう程、自分はルーシィに逢いたかったのだと実感する。手を伸ばし、ルーシィをきつく抱き締める。ふわりと、花の香りがルーシィから香る。

「ロ、ロキ!?……あ、の…」

ルーシィは突如抱き締められたことに驚き恥ずかしさで顔を真っ赤にしてしまう。こんな風に抱き締められたのはあの酒屋以来だろうか。

「ルーシィ、逢いたかった。全然呼んでくれないから寂しかったよ。」
「ロキ…」

ルーシィはそっとロキの背中に手を回す。心臓がバクバクしているのがロキに伝わらないか心配ではあったが。

「ルーシィ、なんで呼んでくれなかったの?逢いたくなかった?」

ロキは少し不安気にルーシィを見つめた。ロキとしてはいつでもルーシィに逢いたかったのだが、ここ2週間呼ばれなかった理由がよくわからなかったのだ。自分とルーシィはあの日に恋人になったと思っていたが、それは自分だけの思い込みだったのだろうか?

「ち、違うの…その、3年もこっちに居たから、向こうで逢いたかった人とか…たくさんいるだろうなと思って、だから呼ばなかったの。」
「そうなの?」
「う、うん。」
「じゃあ、僕達恋人同士…ってことで思っててもいいんだよね?」
「えぇ?!!!」
「え?!なにその反応!!!」

ホッとしたのも束の間、ルーシィの反応にロキはややショックを受ける。もちろん、それが照れからくるものだと気づいてはいるものの、何気に傷ついたりもするが。

「……そ、そうだ、よ。あたし達…その…」
「恋人。」
「そ、そう!!!!こ、恋人…よ?」

“恋人”という言葉を言うだけで動揺するルーシィがあまりにも可愛くて、ロキは耐え切れず声を上げて笑い出した。ルーシィは真っ赤になってロキを涙目できっと睨む。

「まあまあ、そんな怒らないでよ。せっかく逢えたんだから。」

にこにこと嬉しそうに笑うロキに、ルーシィはふと、ああそうか、と大きな目を瞬きさせた。

ここにいるのは恋人の前に、星霊界に3年ぶりに帰ることができた獅子宮の星霊。自身の力を取り戻すことがようやくできた星霊としてのレオだ。

「―おかえりなさい、レオ。」

ふわり、と微笑むルーシィにロキは一瞬目を丸くしたが、すぐに柔らかく笑みを返し、細い体を抱き寄せた。





ただいま、と君へ。



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