※大団円ルート後的な


誰にも砕かれることのなかった心。
神でも聖人ないただの人間を想うなんて、ばかみたいじゃない?

「釈迦もさあ、過保護だよねー。いくら愛弟子だからって、三蔵法師としての使命が終わった今でも背後から見つめるなんて」
「見守る、だろう」
「あんまり変わらないと思うけど?ていうか、僕の体使ってまでやることが背後霊ってどうなのさ」
「背後霊ではない」
「あーはいはい。全く、みんな玄奘に甘いよね。大事に守らなきゃいけないほどか弱い人間じゃないだろうに」
「どうした、観音。今日はいつもより毒舌だな」
「べっつにー」

金の髪を揺らして抑揚なく紡がれる言葉と、己の愛弟子の名前に反応する万物の父と呼ばれる存在は、彼女から目を逸らすことなく問い掛けてきた。問い掛け、にしては疑問の響きはなく、玄奘から目を離さないところに、親バカ、と呟く。
ん、師匠バカ?

「あーあ、下らない」

たかが人間。あと数十年もすれば死ぬんだから、執着なんてしたってムダなのに。
彼女は神でも聖人でもないんだ。

(ムダなら望まない方がいい)



隠された彼の心裏



title by ギリア



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