泣いてはいけないと思った。泣くというのは相手にも周りの空気にも悪い気がする。それでも自分たちの大切な仲間が死んでしまったら泣きたくなるのは人間の性だと思う。平助は、笑ってくれとくしゃっと笑った。だから、自分もなるべく泣かないようにした。楽しかった思い出を欠片も思い残すないように自分の中で気持ちを整理しようかと思ったのに、涙が止まらない。むしろ思い返すたびに辛くなる自分がいて、苦しくなってしまった。

「泣くなよ…しんぱっつぁん、」

だなんて、言うもんだから余計に涙が止まらなくなっちまった。平助の左腕を掴んだまま俺は、聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。

「き、す…きだ、たんだ」
「おいおい過去形はよしてくれよ、」

平助には声が届いていたようで、しっかりと腕にしがみつく。

『やっぱり、しんぱっつぁんといるのが一番安心できるみたい』

『好きだぜ、
まあ、原田と同じくらい』



思い出が沸々と/0314
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