一生なんて言葉はあまりにも信憑性が無くて、期待だけを膨らませる残酷な言葉であると思ったのはいつ頃だろうか。
世の中の恋人たちは一生好きでいるだの一生愛しているだの永遠を確かめようとする。意味がわからない。
そんないやなことばかり考えていると一際目立つ声が聞こえた。
「つーきーしーまー」
小さな身長をぴょんぴょんとしながら大きく両手を振っているチビが居た。いや、居るのなら何の問題もなかったはずだ。
問題は一つ。大きな声で自分の苗字を呼んでいること。これしかない。
恥ずかしさと呆れと苛立ちが交差し返す言葉も見つからず、愛想もなく素通りをした。移動教室のあとの授業は10分間の休み時間じゃ足りないんだよね。とかぶつくさ言いながら歩こうとしたらなにかにぶつかる。あ、ごめんと言おうとしたら、
「おい、無視すんなよう。声かけてんじゃんか!」
ねえねえと上目遣いで見てくるのに少し小動物をイメージした訳ではないが少しくらい返事を返したって罰は当たらないよなとか素直じゃないことを思いながら返答する。
「はあー、何なの?」
心底嫌そうな顔をして言えば話しかけて貰えたことに嬉しくなったのかパアッとした顔になったり気難しい顔になったりする日向に忙しいヤツだなーと思いながら目線を合わせる。
「やっほーくらい返せって!寂しいじゃんかよ。」
プゥッと頬を膨らましながら地団駄を踏む。オマエは何年生だ!と一言いいたい。だがもう関わりたくないから適当に返事をかえす。
「はいはい。ヤッホーこれでいいのかな?じゃあ、行くから。」
何故か知らないが日向の方へ行き自分と頭二つ分くらい違う日向の頭をぽんぽんと撫でてからばいばいと言い自分の教室へと足を伸ばした。
「なんでこう、狂わされるんだよ。ほんと嫌いだ。あの純粋な目、なんでも出来ると思っている目。」
ぼそりと呟き山口が呼んでる場所へと歩いていった。
お前なんて俺には関係ない/0925