城から出たのは良いものの、やっぱり門まで遠い。
城下街に行くのも一苦労だ。

「ああああ、まだ門が見えなっ!!!!」

一瞬だ。
一瞬で私はどうしようもない浮遊感に襲われて、目を閉じた。気持ち悪い!!!

ぐっと踏ん張るように止まって、ゆっくり目を開ける。

「うわぁああああ!?」

私 の 下 に 門 が あ る ぞ !?

余りの高さに目眩がした。
高いところは嫌いじゃない。でもそれは足場がしっかりしていればの話だ。
だいたい何だって私がこんなところに?
分かってる、分かってるんだけど、一応確認しよう。ね、うん。

「こ、小太郎様?私は何ゆえ此処に連れてこられたのでしょうか?」

「…………。」

悠然と立つ小太郎様から答えは返って来ない。
私はまぁ、がっしりと小太郎様の逞しい腕に米俵のように抱えられている訳ですが。

「あの、小太郎様、ちょっとお腹に肩が食い込んで苦し、い……。」

私が全部言い終わるまでに小太郎様が私を見た。
いや、目とか見えないけど無言の迫力と言うか何と言うか、だから私忍者嫌いなんだよおおお!!!
とか思っていたら、横にすとんと下ろされた。
すみません、これはこれで怖い。

「もしかして私を送ってくれたんですか?」

「…………。」

小太郎様はゆっくり頷いた。
なるほど。はいかいいえの質問をすれば良いんだな。

「氏政様に?」

「…………。」

今度はゆっくり首を横に振られた。
ということは小太郎様の独断か。

「ありがとうござます……あの、地面に下ろしてもらって良いですか……。」

また一瞬の浮遊感に襲われて、地面にたどり着いた。
こ、怖ぇえええ!!!

「あ、ありがとうございました。また来ますね。」

ふらふらと足元が覚束ないが頭だけなんとか下げて、私は城下街を目指した。
落ち着いてお茶飲みたい…。





疾 風 翔 慟

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