転校という名の軟禁若しくは島流しの刑について
今どき金の力でどーにかこーにか色んなことしちゃう親ってホント有り得ないと思いませんかーって、俺は思わず歪に引き攣ってるかもしんない顔で神様に心の中で文句を言ってみる。
だって、見てよ!!これ!!
こんな学園日本にあるべきじゃなくない???!!
映画のどっかの魔法学校でしょ??って勢いの佇まいなのよ???って感じ。
実際映画のセットとかテーマパークですよーって言っても多分信じるクオリティ。
金持ちのやることってのは理解出来ないね。マジで。
これからこのハロルド学園大学付属の高校に行かなきゃいけない我が身を憐れまずにはいられませんよって。
しかも、この俺が全寮制。
外出を許されない僻地の校舎。
死ぬの???
誰が??
勿論俺が。
まぁ色々、それはもう色々とやらかしてきた俺を多分見かねて、親が金にものを言わせて転校手続きしてくれやがったのかもしれない金持ち校の校門から、その胡散臭さに俺は思わず砂吐きそうになってたのであった。
こんな無駄に豪華な学校通わなきゃなんないの?
ちょっと本気で帰りたくなってきた。
出来ればお母さんのお腹の中あたりにタイムスリップしたい気分。
人生やり直したいって思ったのは驚くべきことに今日が初めてだ。
いやホントホント。
好き勝手生きてきたもん。人生に悔いとか感じたことないのよ?
でもこれは流石に承諾したことを心底後悔した。
ことの始まりは数日前。
珍しいことにその日は家に親父が帰ってきて、開口一番こう言われたのだ。
「あ、そうそう。春美、お前明後日転校だから」 あ、春美ってのは俺の名前ね。東洞春美。
で、まぁそんなことはどうでもよくて、突然に転校通知された俺は二つ返事で快諾したのだ。
んー、あーそー。りょーかーい。みたいな感じで。
まぁ理由は色々あるけどさ。
あ、言っとくけど前の学校で苛められてたとかそういうんじゃないからね。念の為。
正直言うとめんどーくさかったから。
拒否すんのも理由聞くのもぜーんぶ。めんどーくさかったから。
でもねー、今更聞いとけばよかったって思うよね。理由。
こんなさ、不良ってほど素行は悪くないって思いたい俺を金持ち校なんかに入れて、正しく島流しした、その意味。
まぁあの親父のことだ。
理由とか意味とかあってもなくてもなーんも言わないに決まってるんだから、ここでそんなこと考えてても仕方ないんだけど。
それでもさー、なんとなーく感じちゃうもんじゃない??
なんか策略的な何かを、さ。
まぁ、なんでもいいか、なんて、意外にも潔く諦めて、無駄に豪華な校門潜って、なっがい敷地内を俺は歩き始める。
夏休みも終わる、8月28日の出来事なのであった。