お馬鹿が一途になる瞬間 4


「うをっ!澤、何で泣いて…お前また強引に事仕掛けただろ?バッカだなぁ」
「頼君に言われたくないよぅ…」
「お前ら仲良く出入り禁止だ。よかったなぁ、仲間が増えて」

颯君に軽くイヤミを言われてお店の開店準備に取り掛かる。頼君が根掘り葉掘り聞こうとして来るのがウザくてしょうがないよぅ。

開店準備がほぼ終わった頃に猫君が店に顔を出した。僕の顔見てヘルプ頼んだみたい。手回しいいなぁ…僕を見た猫君が箱を差し出してきた。甘い匂いがする。

「叶がお前に…って。食べかけだったからだと」
「…食べかけ捨てるのも嫌なくらい嫌われちゃったんだぁ…」

また胸がツキンってして涙が出そうになっちゃった。そしたら、違くて、僕がホントに美味しそうに食べてたからだって。中には食べかけの物と同じ物がもう一切れ入っていた。うん、叶君のケーキはホントに美味しかったんだぁ。
僕こんなであんまり自分の行動に後悔する事ってないんだけど今日の僕はホント最悪。

「ありがと…って伝えてよ…あとゴメンネって…」
「ん…もーーー泣くなって。お前オレの事過労死させる気だろー!!一日中働かせやがってww」
「あはは…大丈夫だよぅ…猫君たくましそうだもん」

軽口を叩いて猫君と笑い合う。猫君ってちっさいのにホントパワフルなんだもん。

「澤、お前迷惑掛けてんのに…厨房で縁の手伝いはしろよ」
「えぇーーー僕ハートズタボロなのにぃ颯君の鬼ぃ!!」
「自業自得だろーwwちょっと待て!じゃあオレ一人でホール?」
「いや…俺がフォローする」

珍しい…颯君がホール入るのって初めてじゃないのかな?猫君は気づいてなくて颯君に仕事押し付けちゃおとか言ってるけど…。

「…なんだ、澤」
「んー?颯君ってさり気なーく、猫君に優しいよねぇ」

ボソリとそう言うと複雑そうな表情されちゃった。自覚なかったのかなぁ…。一呼吸置いてから早く厨房に入れって怒られた。ふふ、からかいのネタ発見かなぁ♪

叶君の事は頼君だってあんなに拒まれてる尊君の事諦めてないんだから僕だって諦めなくてもいいよねぇ。まだちゃんと言えてないし。
よーーし、そう簡単にこの澤君は諦めてあげないって事叶君に知ってもらわないとね☆ まずは明日から頼と一緒にストーカーしちゃおうかなぁ、うん。決まり!!

end.



オマケ

尊「ねー叶サン気づいてる?」
叶「…ええ…アレは嫌でも気付きますね;」
尊「出入り禁止だけじゃ甘かったのかな?」
叶「しかし、どうやってアレを止めろと?」
尊「だよねー;」

蒼「なぁ、アイツら炎天下の中かわいそうじゃね?」
叶・尊「そんな事ありません(ないっ!」


視線の先にはコミュの建物の外、窓にベッタリとくっ付くようにして中を覗く出入り禁止を受けた二人の姿が…



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