運命の相手?2


「猫煩いよー。何外で盛り上がってんのさ」
「あ、今日から下のバー営業するんだってよ」
「ふーん…って事はこの人店員さん?猫は手伝わなくていいの?」
「そうらしい。オレは言われてねーからいいんじゃね?」

ああ…目の前で動いてる…喋ってる…コレは俺に出されたGOサインだよなっ!!オレは目の前に現れた運命の相手の手を両手でガシッと掴む。

「Σ!?な…???」
「アンタ名前は!!年は!!!付き合ってる相手は勿論いねーよなっ!!!!」

驚いてパチクリと瞬きしてる顔も可愛い…背は俺よりデカくない。一緒にいたアイツがちっせぇからデカく見えただけか。しかし驚いた顔から徐々に表情が歪んでいく。

「…猫…コレ何?」
「んーオレに聞かれても…そういやーさっきお前の事聞かれたなー」
「余計な事言ってないよねー?」
「コミュのメンバーって事位?」
「それ以上何も言わないでよ。って言うか手離してよ、なんなのさ」

あれ?第一印象最悪とか言う?でもそんな事でめげてたら運命の相手でも掴み取れないのは判ってる。

「俺は頼。23歳、下のバーでバーテンダーやる事になった。アンタに一目惚れした!俺の運命の相手だ!!付き合いたい!!抱かせてくれっ!!」
「………猫…コレ、ボクに近づけないでね」

掴んだ俺の手を無理矢理振り払い、告白を大笑いして見ていたちっさい奴の側をすり抜けて帰って行ってしまった。振られた?いやいや、そんな事ない、俺に返事して行かなかったじゃねーか!!

「頼、お前面白いなーーww応援してやりてーケドさーオレもアイツに臍曲げられると仕事しずれーから、ゴメンなーでもまぁ頑張れば?」
「アンタに言われなくても頑張るし諦める訳がねぇ、何てったって運命の相手だからなっ!!」

笑いながらアイツ…猫って呼ばれてたっけ?は帰っていった。
俺は看板出すだけでどれだけ時間食ってるんだと颯に怒られたが、上であった出来事を話すと颯は妙な顔をして奥へ戻って行った。何なんだ?

「頼君、先日の人に会えたんだぁ」
「おうよ、めっちゃめちゃ可愛くて堪んねぇーーーvvvやっぱ運命の相手だ!!」
「良かったねぇ。でもさぁ、名前も知らないのに運命の相手って言えるのぉ?」
「街ですれ違っただけの相手とこんなすぐにしかも近距離で毎日会えるんだぜ?コレを運命と呼ばないで何と呼ぶ!!」
「ふーん…。でも早く準備しないと颯君に怒られるよぉ?もうすぐ開店だからぁ」


この日から毎日のように上に通い、気味悪がっている尊から足蹴にされようと今までよりは全然楽しいと思っていた頼だった。


end.
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