猫注意報2
「ちょっとーノック位しなさいよねー」
「別にいいだろー、お?ソイツがコミュのリーダー?」
「ソイツって…;あ、猫覚えてるかなー?颯君、前のコミュにいたんだよ♪」
「前のコミュに…?」
入ってきた猫は前のコミュと聞くと顔を歪めたが、俺の顔をジッと見ると『覚えてねー』と一言言った。覚えられてなかったのは軽くショックだが仕方がない。しかし、何だか昔と印象が違うのは気のせいか?
「クスッ、猫随分擦れたでしょーあの頃は可愛かったもんねーww」
「可愛いって何だよ…;しょーがねーだろ…あの頃は何も知らなかったし…」
「その後知りすぎて、捻くれちゃったんだよねー」
ぐっと言葉に詰まって悔しそうに風さんを見る猫の表情は昔と一緒だった。
「……何?ジーッと見て。アンタさーオレに興味あるの?顔悪くねーしセフレ位にならなってもいいけど?」
「セフレだと…!?」
正直猫の口からそういう言葉は聞きたくなかったのが本音だった。あんなに純粋で可愛かったのに何処をどうしたら数年後こんな事になると想像できる?何だか一気に夢から覚めた気分になった。
「いや、遠慮しておく…」
俺がいいと思った猫はこんな奴じゃないと自分に言い聞かせる。猫は一瞬驚いた顔をしたが感じの悪い笑い方をした。
「ふーん…断っちゃうんだ?オレ断然お前に興味沸いちゃったー♪」
「あら、意外。颯君断っちゃうのね」
…この姉弟は…;変な所でそっくりだ。俺は用は済んだと退出する事にした。こんなところにいたらロクな事がない気がした。風さんもその辺には異論はないようでニコニコと笑っているだけだ。が、遅かったようだ。
「はーやてっ♪」
軽い感じに呼ばれて思わず振り向いたのが運のつき…グイッと襟元を引っ張られ、あっという間に猫に口付けられていた。
「…んっ…ごちそーさまv」
「…っつ///」
慌てて引き剥がし部屋から飛び出した。驚くほどのスピードで顔を顰め歩いているらしく知らない人が怯えて道を開けてくれる。
顔が熱いとか、唇が柔らかかったとか、ちょっと可愛いと思った事とか全部嘘だし、幻に決まっている。
今後猫にはなるべく近づかないと心に決めた俺だった。
そして、忘れていた事だが次に店に行くと俺がリーダーだという事が確定していた。
ちくしょう…全部猫のせいだ…。
end.
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