猫注意報


「まぁ…いいけど。皆も気をつけてね。風が気に入らないと思ったら猫に誘惑されてコミュ追い出されちゃうよ?」

猫はそんな事するような奴じゃねーだろ!!
…そう思ってたのは俺だけだったのか、コミュは徐々に人数が減りとうとう解散する事となった。


あれから数年経ち、久しぶりにコミュにいた頃の夢を見た。そういえば今、風さんや猫はどうしてるんだろう…。また猫にはいい人が出来たんだろうか…。

俺と猫とのコミュでの接点はないに等しかった。俺が一方的に知っていて、本当に風さんの弟か?と思えるくらい純粋で可愛くて…。だからアイツと猫がそういう関係だったのを知ってショックだった。
あの事があってから目に見えて猫は元気がなくなって、誰から話しかけられても一瞬ビクリと体を揺らし怯えているように見えた。俺はそんな姿を見たくなくて用があったとしても周りの奴にさり気なく言付け、近くに寄る事が出来なかった。
それから暫くしてコミュが解散すると聞かされた時にはもう猫は姿を現さなくなっていたから自分から接触しなかった事に酷く後悔した。


街を歩いているとチラシを配られた。『店員募集!!』また新しい店が出来るのか…と流し見して捨てようかと思ったとき一番下の連絡先に目が行った。『連絡先:碧 風 電話:…』こんな珍しい名前他の奴な訳はない。無意識に俺は携帯のボタンを押していた。


「颯君久しぶりだねー!元気してた?」

風さんのテンションの高さは昔のままだった。妙に軽い雰囲気なのにやる事は大胆で隙がない。女にしておくにはもったいないな…と昔から思っていた。
軽い面接をし、顔なじみで問題ないという事で即採用となった。

「あの…猫は…元気っすか?」

採用後の打ち合わせでどうしても気になって聞いてしまった。しかし、風さんは特に気にした風もなく

「あれ?颯君って猫と仲良かったっけ?」
「あ…いや、ほとんど喋った事ないっすけど、最後の方元気なかったからどうしたかなって…」
「ふーん…元気だよ。あ、お店ね、猫がオーナーやってるコミュの下なの♪」

猫がコミュのオーナー…?アレだけ嫌な事があったコミュのオーナーって…マジかよ…俺が不思議そうな顔をしているのが判ったのか軽く風さんは経緯を説明してくれた。
……この人敵に回すと怖いかも知れねぇ…;

「でねー猫も一応お店の店員でやってもらおうと思ってるんだ♪勿論自分のコミュがあるからそう頻繁には顔出せないかも知れないけど。だからね、颯君にリーダー的なポジションをお願いしたいんだー」
「猫も一緒に…?……ってか俺がリーダーっすか!?」
「うん。一番年上だし、コミュやるのも初めてじゃないでしょ?だから皆を纏められると思うんだ」

ニコニコと笑顔で言われどうすっかなーと困っているところにドアが開く。


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