過去編・猫3




「猫ー五月蝿いよー何騒いで…ちょ…影君っ!!うちの弟に何してんのよっ!!」

慌てて入って来たアネキはオレの上に覆いかぶさっていた影さんを引き離し、拳で影さんの頬を殴りつけた。我姉ながら恐ろしい奴だ;でもその時のオレは縛られ、服は引き裂かれ、涙でグシャグシャだったからアネキは救世主に見えた。

「仲がいいのは悪い事じゃないから黙ってたけどこういうのは強姦って言うのよ!?」
「仲良しだよ?今のだって猫本当は嫌がってないから…演技なんだけど判んなかった?」
「な…何が演技よ!!この子小さい頃から滅多に泣かないんだからっ!!それに影君もうすぐ結婚するのよ?そんな時期にこんな事していいと思ってるの!?」
「風も猫と同じ事言うんだ…?姉弟だね。大丈夫だよ、僕は猫も好きだし、彼女も好きだから。二人ともちゃんと平等に愛してあげられるよ?」

オレもアネキも影さんの言葉で青くなった。ホントおかしい…この人。


この後、出かけていたメンバーの人達に連れられて影さんは帰宅と同時にアネキにコミュの脱退を命じられた。大人しく帰るかと思った影さんは

「まぁ…いいけど。皆も気をつけてね。風が気に入らないと思ったら猫に誘惑されてコミュ追い出されちゃうよ?」

この言葉に何も知らないでオレやアネキにビビったメンバーが次々と辞めていく事となった。せっかく軌道に乗り始めてた頃だったのに…

「猫のせいじゃないから…アイツがおかしいだけだから…」
「でも…オレのせいでコミュが…!!」
「そうねー…一回無くして一から出直すっていうのもいいわね♪」

そうしてアネキは苦労して立ち上げたコミュをあっさりと潰し、数年後今のコミュを立ち上げる事となった。
アネキの話では影さんはその後彼女と結婚するもまた年下の男に手を出し、それが奥さんにバレて離婚したらしい。ざまぁみろ。
オレは丁度大学も卒業し、就職した会社でも順調にやっていた。影さんとの事があってから何故か男に言い寄られる事も多くなって、ケンカばっかりしてたりしたのもこの時期かな。

「ねぇーこちゃん、おねーちゃんお願いがあるんだけどぉー」
「…アンタのそのお願いはロクな事じゃねーよな…;」
「そんな事ないわよー?簡単な事、猫にコミュのオーナーやってもらおうと思ってv」

開いた口が塞がらないってこの事か…。あんな嫌な思いをしたコミュなんてもの…しかもオーナーって;アネキが何を考えてるのかさっぱりわからない…。

「大丈夫よー?今度はバッチリ♪コミュの規則に恋愛禁止なんて物を作ってみましたー!!何で前の時思いつかなかったのかしら?」
「あ…の?…そーいう問題じゃねーだろ…?」
「あとーぉ、猫の為に男子限定なのー!」
「…普通あんなコトあったら逆にしねー?」
「でも猫女の子苦手でしょー?でもゴタゴタして欲しくないから恋愛感情なしの男だけのコミュ。あ、恋愛しなければ何してもいいからね♪」
「Σ!?…ッ///アンタ何考えてんだよっ!?大体オレ今働いてるし…」

「…猫にはね、世の中にはアンナ男しかいないって思って欲しくないの…。もっとね、きっと猫を大切に思ってくれる人もいるって判って欲しいの。それを側で見たいって言うのもあるんだけどね」
「…アネキ…」
「あ、因みにー今の会社には退職届け出して来ちゃったからもう行かなくていいわよー♪」

この人のぶっ飛び方にオレは付いて行けねー…;

結局働く場所を勝手に辞めさせられた(そんな権力どこで身に着けたんだこの人;)オレはコミュで働くしかなくてオーナーになった訳で。
言葉にしては絶対言えねーケド今はアネキに感謝してる。コミュや他のトコの奴らとバカやったり騒いだりして、あのまま普通に会社で働いてたよりは絶対楽しい。
大切とかやっぱり今でもよく判んねーんだけど、ここにいれば何か見つかる気がするのは気のせいじゃないって思う。

end.

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