過去編・猫2




「猫、アンタ影君と仲いい?」

そうアネキに言われてギクっとした。皆がいる前じゃ前のまま『影さん』って呼んでたし、敬語も使ってた。でもアネキって変な所で鋭くて…。
怖かったけど普通…って答えた。アネキは暫くの間オレの顔を見てたけどふぅとため息をついて

「だったら来月第2土曜コミュの留守番頼める?影君の結婚式があるんだけど誰か残ってないとマズイから」
「え…結婚…?」
「ん、ずっと同棲してる相手がいてねーやっと結婚する事になったのよ」
「そ…そうなんだ…うん…平気だと…思う」

どうにか表情を変えずに返事が出来たオレ最高に偉かったと思う。初めて影さんに気持ち伝えた時より数倍頭グルグルしてたから。
最近どおりで週末に会ってくれなくて、コミュ帰りにちょっとお茶してホテル行ってとかだなーとか思ってたケドまさか結婚とは…。
ここで初めて影さんちに行った事ないって気づくオレも間抜けだよな。そりゃ彼女と一緒に住んでるならオレを家に誘ってなんかくれないよな。
でも明日も帰りに会おうって約束してんだよなー…どうしようか…。


「お待たせ、寒くなってきたねー。暖かいところに行こうか、ちょっとお洒落な…」
「影!!…さん…もうこうやって会うの止めない?」

影さんは驚いた表情で暫く固まってた。
うん、やっぱ結婚するって言ってる人とこういう事しちゃダメだよなってオレの中では結論が出てた。だから影さんに結婚オメデトって言ったらすげー怖い顔してオレの手を引いたかと思うとすぐさまホテルに連れ込まれた。

「何?風から聞いちゃったんだ?でも僕別に彼女いてもできるし、これからも猫との関係続けたいと思ってるよ?猫も僕の事好きだよね?」
「影…?何言ってんの?結婚するんだぜ?彼女の物になるんだって判ってんのかよ?いくらオレが男だからってそれはダメだろ!!」
「別に…大丈夫でしょ?猫は子供できないんだし。お互い黙ってればバレないだろ?」

マジ最低…ってこの時思った。オレこんな人のどこが好きだったんだろう…。
この後非力だったオレは抑え付けられてヤられて、逃がさないって言われた。何とか家に帰って来ても身体も心もズタボロでこれからどうしたらいいか分からなかった。

それでもコミュの手伝いを休む事も出来なくて…何故か影さんと一緒になる時は常に他の人がいて…アネキ気づいてたんだと思う。そのさりげない優しさが悔しくもあり嬉しくもあった。
でもやっぱりそうは上手く行かないもので、ホントたまたま他の人達がコミュの外に出てしまった。

「えー…と、オレもビラ配り行ってこよ」
「二人になるの久しぶりだね…我慢してたんだよな…猫が僕の事シカトするからさ。今更照れなくてもいいんだよ?」

影さんの目が異常にギラギラしてて本能的にヤバいって思った。机に押し付けられて紐で腕縛られて無理矢理身体をまさぐってくる影さんが本気で怖かった。

「影さん…やだ…怖いよ…」
「何可愛い子ぶってんの?それに…さん付けで呼ぶなって言ったよね?」

パンっと楽しそうに影さんはオレの頬を何度も殴った。それで本気で怖くなってコミュの中だという事も忘れて大声で助けを求めた。このままだとオレまでおかしくなる…。


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