「すずめ、昨日はどれくらい仕事した?」

「さぁてね、いちいち殺した妖の数なんて覚えちゃいねぇよ」

「……そう」

「………」

「………」

「……昨日は仕事してねぇよ。緋ィ様の指示で皆何もしなかった。お前遠出してたから知らねーだろうけど」

「そっか。良かった」

「…なァ」

「ん?」

「やめとけよ、お前まで生き急ごうとすんの」


切なげにこちらを見る彼

いつもは生意気で軽口ばかり叩いているくせに

こういう時ばっかりは真面目になるんだ

「それはすずめも同じでしょう?」

面に取り憑かれて

それを仕事に道具にして

それからいくつ季節が変わっただろう


そうして、どれくらい私達の命は削られていっただろう


「けどよ…もしお前が俺より先に死んだら…」

「そうならないようにこうして調節してるんじゃない」

「だからって全く同じってわけにはいかねぇだろうよ」

「大丈夫だよ、きっと大丈夫」

「あー…もうやめだやめだ!!辛気くせぇのは嫌いだ!なるようにしかならねぇだろ」

「ふふ、そう考えとけばいいのよ」


彼と同じ数だけ妖を狩り

彼が倒したのと同じような妖を狙う

そうすればきっとすずめと同じように、そして同じ時に死ねるような気がして…

だから緋ィ様には悪いけれど

二人一気に陰陽寮を抜けてしまうことになる


でもそれでもいいの

彼と共に逝けるのなら


「…ねぇ、すずめ。私達はきっと、ううん、絶対に…」


“堕ちる刻は同じなの”



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