「おーい妹子!起きろ起きるんだ!!」
「…何ですか太子。それと起きてますよ。今の今まで話してたんですから」
「そんなことはどうでもいい!!今すぐ寺建てるでおま!」
「えー…この前小屋みたいなやつ作ったばっかじゃないですか」
「黙りやがれ!早く作るんだ妹子!」
「僕が寺なんか作れるわけないでしょ!!」
「何を言ってるんだ!早くしないと馬子さんが先に立派な寺を建ててしまう!“飛鳥寺”とかめっちゃかっこよさそうじゃん!」
「まさかそんな子供みたいな対抗心が理由で…?」
「私は摂政だぞ、そんな理由なわけがあるか」
「なら何だってそんなにこだわるんです?」
「ミョウジが“飛鳥寺の完成楽しみですね、太子”と言ったからだ。何か悔しい」
「十分くだらない理由だった!」
「何だと!?ミョウジがこのまま馬子さんに寝取られでもしたらどうしてくれる!!妹子が私の嫁に来てくれるのか!?」
「行きませんよ!何馬鹿なこと言ってるんですか!というかまだプロポーズもしてないくせにミョウジさんを嫁にもらう気満々だよこの人…」
「当たり前だ。プロポーズならこれからする。いや、多分今日中に」
「え!?まさかプロポーズの為に寺作ろうってんじゃ…」
「私がそんな浅い男なわけがないだろう!!寺じゃわかりにくいから、恋文を書いた」
「そっちのが規模小せぇぇぇ!!」
「だがしかし…昨日カレーを食べていたら手紙にこぼして、池の水で洗おうとしたら今度は池に落としので今はフィッシュ竹中さんに探してもらっている」
「え…それ仮に見つかっても絶対文字読めませんよ…しかもカレー付きって…ミョウジさんが可愛そうになってきたな…」
「ミョウジは私が何をしても笑っていてくれる。何をしてもだぞ、羨ましいだろ〜」
「完全にそれ甘やかされてますね」
「私をカレー臭いとか言わないしな!!」
「我慢してるんですよ、我慢」
止まらない口論はいつしか日が高く昇る時間まで続けられる
そして
騒いでいれば当然お腹も減るわけで
二人がもうどうでもよくなって戻ろうとした時にその渦中の女は現れた
「太子ー、どこですかー?」
「ミョウジ!?おぉ、私はここだ!早くこっちに来んしゃい!」
「急に元気になった…めんどくさいなこの人は」
「こんにちは。あ、妹子さんもご一緒でしたか」
「あ、はい。こんにちは、ミョウジさん」
「妹子のことはどうでもいい!それで、どうした?私に会いたくなったのか?」
「えっと、天気もいいですし私今日お仕事ないのでご迷惑でなければお昼を一緒に食べようかと思いまして。カレー、作ってきたんですよ!」
「迷惑なものか!しかもカレー!?よし、妹子、帰れ!今すぐ帰れ!!」
「はぁ…まったく…寺はもういいんですか?」
「いい!私はミョウジと一緒にいる方がいい!帰れ妹子!」
「え、妹子さんもご一緒でも私は全然構いませんよ?」
「いや、いいですよ。素直に帰ります。帰らないと失脚でもさせられそうな勢いなので」
「よーしミョウジ!邪魔者はいなくなった!存分に二人きりを楽しむぞ!」
「ふふ…はい!」
お昼を楽しんでいる時にフィッシュ竹中がボロボロの手紙を持ってきて
それを太子が彼女に手渡し
何も読めなくなった手紙を嬉しそうにミョウジが抱きしめたのはまた後の話
← → /
back