「アルミ缶の上にあるミカン」

「……」

「あれ?」

「何が言いたいんですか」

「いや、海の日だから」

「意味がわかりません」

「ほら、海の日は曽良君が笑う日でしょ?だからこのレベルのギャグでも笑ってくれるのかなって」

「笑いませんよ。芭蕉さんですか、それ言ったの」

「うん」

「……」

「あれ…笑顔どころか黙られてしまった」

「いや、笑ってますよ」

「そんなバカな」

「本当ですよ。あなたといる時は割と」

「えぇ!?これだけ一緒に旅してきてそんなシーン見たことないよ!?」

「見せたことはありませんから」

「何それ!見たい!笑って曽良君!私は今ここにいるよ!ほら!」

「嫌です」

「即答された…じゃあもっとずっと一緒にいれば見られる!?」

「えぇ、おそらく」

「なら私しばらく曽良君の傍から離れないね!」



こうして曽良は一番欲しいものを手に入れた



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